2014 Fiscal Year Annual Research Report
低濃度環境化学物質による新規神経毒性メカニズムの解明とin vivo神経毒性評価
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14J06534
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 慶士 広島大学, 医歯薬保健学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | トリブチルスズ / 神経毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、脳に常在する濃度付近の有機スズによる影響を調べる過程で、20nMのトリブチルスズ(TBT)を大脳皮質初代培養神経細胞に曝露することにより、AMPA型グルタミン酸受容体GluR2サブユニットのタンパク質およびmRNAが持続的に減少することを報告してきた。さらに、TBT がGluR2 の転写因子の一つである nuclear respiratory factor-1 (NRF-1) の転写活性を阻害することを明らかにしている。そこで、本研究はTBTによるNRF-1阻害メカニズムを in vitro で明らかにし、その分子メカニズムに基づいた脳への毒性影響をマウスを用いた in vivo 試験により解析する。本年度は主に大脳皮質初代培養神経細胞を用いて in vitro 研究を以下の通り実施した。 TBT曝露によるNRF-1タンパク質の発現変動を調査したところ、9日間曝露でNRF-1発現の減少が認められたものの、NRF-1転写活性の低下が認められる3時間曝露とは曝露時間が一致せず、NRF-1タンパク質発現低下はTBT短時間曝露で認められる転写活性の低下とは相関性が低いことが明らかとなった。一方、TBT 曝露によるNRF-1と転写共役因子PGC-1αの相互作用への影響を検討したところ、3時間曝露でNRF-1-PGC-1α複合体形成の低下が認められた。以上より、TBTはNRF-1タンパク質発現には影響を与えず、NRF-1-PG-1α複合体形成を阻害することで、NRF-1転写活性を低下させる可能性が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TBTがNRF-1-PG-1α複合体形成を阻害することを明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
NRF-1-PGC-1α転写複合体形成阻害メカニズムの解明目指す。 マウスにTBTを投与し、GluR2発現に影響を与える投与量・期間を明らかにする。
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Research Products
(5 results)