2014 Fiscal Year Annual Research Report
高速点火核融合実験における高速電子計測による加熱効率の評価
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14J06592
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小島 完興 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 高速点火核融合 / 硬X線分光器 / 高速電子 / 較正 |
Outline of Annual Research Achievements |
大阪大学レーザーエネルギー学研究センターでは、レーザー核融合の方式の一つである「高速点火方式」の研究に注力している。高速点火方式では重水素置換したプラスチックの燃料球にコーンを取り付けたターゲットを用いる。初めに燃料球を圧縮レーザーで初期密度の300倍程度まで圧縮し、最大圧縮時に超高強度レーザーによりコーンから発生させた相対論的電子(高速電子)を用いて燃料を追加熱し、核融合点火・燃焼を起こす。特に1-3MeVのエネルギー域に属する高速電子は燃料を加熱するのに最適な飛程(燃料にエネルギーを与えるのに費やす距離)を持ち、このエネルギー域の高速電子の発生量を把握し制御することが重要である。本研究では高速電子が燃料にエネルギーを輸送する際に放射する硬X線から高速電子を計測する手法を導入し、そのための新たな硬X線分光器を開発した。本分野での計測環境というのは数keVから数10MeVのエネルギー領域に及ぶ硬X線がわずかpsの間に発生するといった計測が極めて難しい環境である。このような環境は世界的にも珍しく、従来の手法は使用できない。計測方法として数MeVのX線の相互作用として支配的なコンプトン散乱に注目した新型分光器を開発した。コンプトン散乱は散乱の前後で光子と電子のエネルギーは保存則を満たすように分配されるため、反跳電子のエネルギーと反跳角を計測することで入射光子のエネルギーを一意に特定出来る。本年度は開発した分光器の性能評価を大阪大学にある線形加速器、放射線照射施設や企業が所有している線形加速器などを用いて評価した。その成果はReview of Scientific Instruments誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当年度の上半期においては予定されていた分光器の性能評価を完了させ、その成果はReview of Scientific Instruments誌に投稿した。また米国アトランタで行われた国際学会(20th Topical Conference on High-Temperature Plasma Diagnostics )において成果発表を行い、本分野での周知を行った。それに加えて、開発した分光器を用いることで現状の実験における問題点が明らかとなった(燃料を加熱するはずの電子群が燃料を突き抜けている)。下半期においては燃料へのエネルギー付与の効率を向上させるために電子群のエネルギーを下げる(止まりやすくする)手法を導入し、開発した分光器を用いて成果を評価した。今回、導入した手法により電子群のエネルギー分布や総数が燃料を加熱するのにほぼ最適な値になった。実際に、燃料を加熱する実験は当年度にはまだ行えていないが、シミュレーションをもとに見積もると従来の10倍程度の加熱効率向上が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究において追加熱レーザーを単独で照射した場合に発生する高速電子群は燃料の加熱を十分期待できるものであるということがわかった。今後の研究では、圧縮レーザー照射する状況下でも最適な電子群を発生できる条件を求める。最適な電子群の発生には追加熱レーザーが作用するターゲット表面を急峻に保つ必要である(プラズマ化させない)。今後は、ターゲット表面にできるプラズマの光学的観測と組み合わせて研究を推進していく。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Accuracy evaluation of a Compton X-ray spectrometer with bremsstrahlung X-rays generated by a 6 MeV electron bunch2014
Author(s)
Sadaoki Kojima, Yasunobu Arikawa, Yasuhiko Nishimura, Hiromi Togawa, Zhe Zhang, Takahito Ikenouchi, Tetsuo Ozaki, Alessio Morace, Takahiro Nagai, Yuki Abe, Shouhei Sakata, Hiroaki Inoue, Masaru Utsugi, Mitsuo Nakai, Hiroaki Nishimura, Hiroyuki Shiraga, Ryukou Kato, Shinsuke Fujioka and Hiroshi Azechi
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Journal Title
Review of Scientific Instruments
Volume: 85
Pages: 11D634
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Development of Compton X-Ray Spectrometer for Fast Ignition Experiment2014
Author(s)
Sadaoki KOJIMA, Yasunobu ARIKAWA, Takahito IKENOUCHI, Takahiro NAGAI, Yuki ABE, Shouhei SAKATA, Hiroaki INOUE, Takuya NAMIMOTO, Shinsuke FUJIOKA, Mitsuo NAKAI, Hiroyuki SHIRAGA, GEKKO-XII&LFEX Team, Tetsuo OZAKI, Makoto R. ASAKAWA, Ryukou KATO and Hiroshi AZECHI
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Journal Title
Plasma and Fusion Research: Regular Articles
Volume: 9
Pages: 4405109
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Development of Compton X-ray Spectrometer for The Fast Ignition Experiment2014
Author(s)
Sadaoki Kojima, Yasunobu Arikawa, Yasuhiko Nishimura, Hiromi Togawa, Zhe Zhang, Takahito Ikenouchi, Tetsuo Ozaki, Alessio Morace, Takahiro Nagai, Yuki Abe, Shouhei Sakata, Hiroaki Inoue, Masaru Utsugi, Mitsuo Nakai, Hiroaki Nishimura, Hiroyuki Shiraga, Ryukou Kato, Shinsuke Fujioka and Hiroshi Azechi
Organizer
20th Topical Conference on High-Temperature Plasma Diagnostics
Place of Presentation
アメリカ ジョージア州 アトランタ
Year and Date
2014-06-02