2014 Fiscal Year Annual Research Report
希少糖生産酵素L-リボースイソメラーゼの改良および希少オリゴ糖生産技術の開発
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14J06611
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
寺見 優司 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 希少糖 / L-リボースイソメラーゼ / 結晶構造解析 / 糖リン酸 / ホスホリラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. L-リボースイソメラーゼのX線結晶構造解析と部位特異的変異を用いた酵素の機能改変 L-リボースイソメラーゼは今後の希少糖生産においても重要な位置づけにある。しかし、本酵素でのみ生産可能な希少糖の一部は、触媒効率が低いため生産性に乏しいという問題がある。したがって、生産性の向上のため本酵素の機能改変が急務である。そこで、本酵素の基質認識メカニズム、熱安定性関与アミノ酸残基を構造学的に解明することで、生産性向上へ繋げることを目的としている。(1) 本酵素の結晶化、分子置換法にて結晶構造のモデリングに成功した。また、酵素基質複合体の結晶構造モデリングも同時に行い、得られた本酵素の結晶構造から基質認識メカニズムを解明した。(2) 変異導入技術等を用いたところ、本酵素は酵素活性維持のためには四量体形成が必要であることが示唆された。このことは、その他の酵素についても当てはまることと考えている。 2. 希少糖を構成単位とする新規の希少二糖・オリゴ糖を生産する技術の開発 単糖よりオリゴ糖の方が安定で高い生理活性が認められていることから、生理活性を持つ希少糖を構成単位とする希少二糖・オリゴ糖の生産技術の開発は重要である。そこで、新たに分離した微生物の生産する糖脱水素酵素、キナーゼと糖ホスホリラーゼを組み合わせて新規希少二糖・オリゴ糖を生産できるのではないかと考えた。(1) 生産に必要となる糖ホスホリラーゼ等の酵素を大量に得ることに成功した。(2) 糖ホスホリラーゼにおいては、本来の基質であるセロビオース、セロデキストリン以外には、D-マンノースを構成糖に含む二糖・オリゴ糖に作用することが分かった。ガラクトキナーゼにおいては、D-アロースの反応性は悪いことが示唆されたが、D-タロース、L-アルトロースなどへの反応が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別研究員採用後、希少糖生産酵素L-リボースイソメラーゼのX線結晶構造解析と部位特異的変異を用いた酵素の機能改変という研究課題については、酵素の結晶化までに多くの時間を要したが、結晶後速やかに構造を解析することができ、L-リボースイソメラーゼの結晶構造解析をもとに、基質認識メカニズム、本酵素の熱安定性が多量体構造にも依存していることを解明した。 次に、希少糖を構成単位とする新規の希少二糖・オリゴ糖を生産する技術の開発という研究課題においては、ホスホリラーゼを用いた二糖・オリゴ糖合成に必要となる前駆物質の生産は一筋縄ではなく予想以上に難しいものであるが、特別研究員提出時に考えていた、代替案も試行しながら研究を行っている。さらに、研究を行っているうち、さらに見えてくるものもあった。例えば新規ホスホリラーゼ・糖転移酵素をクローニングし、多種類の希少二糖・三糖(オリゴ糖)生産に応用していくなど検討している。本研究は始まったばかりなので,結果は出にくい部分もあるが、さらなる努力を重ねていきたいと考えている。 得られた結果は、特許関連を除き、国際学会・国内学会にてポスター・口頭発表を行い、学術論文1報を報告し、上記のことも含め、このように自己評価をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.L-リボースイソメラーゼのX線結晶構造解析と部位特異的変異を用いた酵素の機能改変 Cellulomonas parahominis由来のL-リボースイソメラーゼ変異酵素は、酵素活性がなくなる変異酵素も存在するため、変異前酵素・変異酵素の固定化条件等も含め検討し、固定化L-リボースイソメラーゼ酵素を作成し、作用が確認できた希少糖の大量生産を目標とし、酵素の諸性質、希少糖生産を検討する。 2.希少糖を構成単位とする新規の希少二糖・オリゴ糖を生産する技術の開発 現状大量生産に成功したホスホリラーゼは反応性が悪いことが予測でき、他のホスホリラーゼも希少二糖・オリゴ糖生産に応用できる可能性があるので大量生産を試みる。さらに原料の天然に存在する二糖に糖脱水素酵素を作用させて、二糖の3位が酸化された新規希少デヒドロ糖を生産し、そこから、ホスホリラーゼを作用させてホスホリラーゼの反応基質の生産も視野に入れる。また、希少デヒドロ糖にホスホリラーゼを作用させ新規希少オリゴ糖への転換も試みる。
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Research Products
(3 results)