2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J06653
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中分 遥 北海道大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 集合知 / 文化進化 / 適応的意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
知識や技術の社会的伝達は人間以外の動物にもみられる行動であるが、世代を超えて知識や技術が漸進的に向上する累積的文化進化は人間に固有の現象である(Tomasello, 1990)。これまで累積的文化進化が人間のみにみられる原因として、人間のみが情報を忠実に次世代に伝達する能力があると考えられており、いかに忠実に次世代へと情報を伝達するのかが焦点になっていた(Lewis & Laland, 2012)。こうした背景に対して、平成26年度の研究では忠実な情報の伝達は文化を維持する上では重要であるが、文化を累積的に向上させる真の要因は世代間で人間が入れ替われることによる創発性であることを示した。研究では個人が時間をかけて学習を繰り返しても最適解へと達成できない課題を設定し(多峰型適応度地形によって表現されるNP困難問題; Schmitt & Martignon, 2006)、その課題を師から弟子へと情報を伝達する過程を導入するように複数の個人が数珠つなぎのように入れ替わりで課題に取り組むことで個人では達成できない高い創発性が生まれたことをコンピュータ・シミュレーションによって示した。 平成27年度は26年度で行われたシミュレーションを2つの方向性で拡張した。第一に、これまで師から弟子へと一子相伝で伝達したアルゴリズムを拡張し、弟子が複数の親の中から文化形質を獲得できるように拡張した。第二に、これまでシミュレーション内では本シミュレーションの設定と同じ実験室実験で人々が用いるとされる学習アルゴリズム(Tally Learing; Dieckman & Todd, 2012)を用いていたが、その他の人々が用いる学習アルゴリズムに関しても検討した。その結果、この2点を導入しても世代間伝達の際に生じる不完全な情報伝達により文化が累積的に進化するという結果の頑健性が確認された。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)