2014 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛欠乏を予防する食品因子の網羅的探索系の構築と有用性評価
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14J06743
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 彩子 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 亜鉛吸収 / 亜鉛トランスポーター |
Outline of Annual Research Achievements |
ZIP4とZIP5の比較的相同性が低い膜貫通領域ⅢとⅣの間の前半部分、または後半部分のキメラ置換体を作成し、これらの局在解析からZIP4の亜鉛依存的な発現調節に関わるアミノ酸配列の存在する領域を部分的に明らかにした。さらにZIP4またはZIP5のキメラ変異体の解析においてZIP4の分解制御領域に加えて、特異的な局在を示すために重要となる領域の同定にもつながる結果を得た。 また、ZIP4の発現量を増加させる新規活性成分として同定したソヤサポニンBbについて、その類縁体の効果を解析した結果、ZIP4の発現促進効果はソヤサポニンBb特異的であること、またアグリコンには効果が見られないことを明らかにした。すなわち、細胞外に突出するZIP4のN末端領域に相互作用する因子が、ZIP4の分解を抑制し、亜鉛吸収を促進することを示唆する結果が得られた。 見出した食品因子の効果について、軽度亜鉛欠乏状態のラットを使用してin vivoでの検証を行うために、軽度亜鉛欠乏状態ラット作成のための飼育条件を検討した。その結果、亜鉛欠乏傾向に陥る条件を明らかにし、見出した食品因子のin vivoにおけるZIP4発現促進効果ならびに亜鉛吸収促進効果の検証を実施する準備が整った。 本研究を開始した当初は、内在性のZIP4を発現し、かつ、その発現が亜鉛により制御されるという、マウス腸管でのZIP4発現様式と同様の性質を有する細胞はHepa細胞の他には存在しなかった。しかし本年の解析で、内在的にZIP4を発現し、さらにその発現がマウス腸管と同様に亜鉛状態により変化するヒト膵臓癌細胞ASPC1細胞を見出すことが出来た。これまではヒトZIP4に関する解析には限界があったが、ASPC1細胞を用いることにより、その解析が実現可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ZIP4またはZIP5のキメラ変異体の局在変化に関する解析から、ZIP4の亜鉛依存的な発現制御に重要な領域を部分的に明らかにし、さらに特異的な局在を示すために重要な領域の同定に結びつく結果が得られた。また、すでに同定した活性成分の類縁体におけるZIP4発現促進効果の解析から、ZIP4の作用領域について細胞外のN末端領域が重要であると示唆する結果を得た。見出した領域の精製タンパクを用いたBiacoreシステム構築につながる成果をあげた。そして、スクリーニングにより見出された因子のin vivo解析に向けた条件検討を行い、in vivo解析の実現につながる重要な結果を得た。以上の結果から、本研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年の解析から明らかにしたZIP4の亜鉛依存的な発現調節に関わるアミノ酸配列の存在領域についてGSTまたはMBPタグを融合した精製タンパク質を作成し、Biacoreシステムを用いたスクリーニングを実施する予定である。そして、見出した食品因子のin vivoにおける効果について、ZIP4の発現促進効果ならびに亜鉛吸収促進効果について解析する予定である。マウス腸管と同様に亜鉛状態により内在的ZIP4の発現量を変化させるヒト膵臓癌細胞ASPC1細胞を見出すことが出来たため、ASPC1細胞を用いて、見出した食品因子のヒトZIP4に対する影響について解析する。
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Research Products
(5 results)