2014 Fiscal Year Annual Research Report
鉄ニクタイド超伝導体におけるディラックコーン状態の磁場中輸送特性の研究
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14J06798
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浦田 隆広 東北大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄系超伝導体 / ディラックコーン / 不純物置換効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄系超伝導体中におけるディラックコーンへの電荷キャリアドーピングの効果は未だ明らかになっていない。Ba(Fe_{1-x}Mn_xAs)_2において、Mnは局在モーメントを持ち、ホールをドープしないという事が幾つかの先行研究により提唱されてきた。しかし、詳細な磁場中輸送特性を解析する事により、この系の電子状態を再検討した結果、母物質Ba(FeAs)_2では観測されなかった高易動度かつ少数のホールキャリアの存在が示された。この成果については、現在論文を投稿中である。 昨年度より研究を開始したBa_{1-x}K_{x}(FeAs)_2はBaに対して1価のホールドープ系であり、またKは非磁性不純物として振る舞う事が期待できる。さらに伝導層であるFeAs面内に対して散乱の効果が少ないと考えられるため、Ba(Fe_{1-x}Mn_xAs)_2よりも、ディラックコーンへのホールドープの影響を研究する上では理想的である。母物質であるBa(FeAs)_2において、ディラックコーンは電子的であることが示唆されており、K置換によってキャリアタイプの反転が期待できる。本研究では、磁場中輸送からBa_{1-x}K_x(FeAs)_2におけるキャリア特性を明らかにすることを目的としている。特にK置換によるディラックコーンへのキャリアドープ効果の解明を目指す。 初年度はFeAs及びKAsを用いたセルフフラックス法を用いて、単結晶試料の育成を行った。しかし結晶のサイズ、濃度の均一性共に理想的とは言えないのが現状である。次年度はより高品質な単結晶を育成することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Ba(Fe_{1-x}Mn_xAs)_2において電子状態に対する新たな知見を得ることに成功した。Ba_{1-x}K_x(FeAs)_2の単結晶育成は想定以上に困難であることから若干進度が遅れている。一方、思いがけずFeSeに不純物を置換した単結晶育成に成功し、鉄系超伝導メカニズムの解明を目指し研究を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Ba_{1-x}K_x(FeAs)_2の単結晶育成は引き続き試行を続ける。また、微小試料に対しても電気輸送特性を測定するため、電子線リソグラフィーの使用も検討している。 FeSeに対する不純物置換効果に関しても超伝導対称性の観点から研究を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)