2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J06872
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
学谷 亮 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | クローデル / フランス文学 / 極東 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年4月1日から6月30日まで、前年度から継続し、研究指導委託制度を利用してパリ第4大学での研究を行った。ディディエ・アレクサンドルパリ第4大学教授の指導と助言のもと、パリ郊外のフランス外務省外交史料館にて資料調査に従事した。 研究指導委託期間を終えて帰国後は、わが国の外務省外交史料館および国立公文書館での一次史料調査を実施することにより、フランスで収集した史料を補った。また、戦間期日本の対外関係に関する研究書や研究論文を網羅的に収集することにより、史料の歴史的コンテクストの把握に努めた。 これと並行して、滞日期クローデルの文学活動の研究を行った。まず、日本滞在中に書かれたクローデルの日記の内容を、項目別に整理し、データベース化した。また、日本滞在中にクローデルが発表した理論的散文および講演原稿において展開された詩学と、彼が同時期に創作した詩作品との間にどのような相関性が見出され、そこに日本滞在中の経験がどのような影響を与えているかを詳細に調査した。 以上のような研究の成果を、論文にまとめて『アジア地域文化研究』および『仏蘭西学研究』に投稿し、査読を経て採録が決定した。いずれも、フランス外務省外交史料館所蔵文書を利用し、中国情勢に対するクローデルの見方をまとめた論文である。 またこれらに加え、日本フランス語フランス文学会関東支部大会において口頭発表を実施した。これは、クローデルが日本滞在中に実践した二つの詩的形式(短詩と会話体)が、ともに「絵画性」という同一の問題意識に貫かれていたことを、クローデルの理論的散文および詩作品の分析を通じて明らかにしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに収集した一次資料の整理と解読が進んだことにより、クローデルの対日外交政策のうち、先行研究において特に手薄だった点が明らかにされた。
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Strategy for Future Research Activity |
滞日期クローデルの文学作品の読解を行う。日記や書簡の内容を参照しながら、滞日期クローデル文学に通底する一貫した原理の発見に努めると同時に、それが外交文書から読み取れる外交思想・政治思想とどのような関係をもつかについて考察する。
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Research Products
(4 results)