2014 Fiscal Year Annual Research Report
魚類コア遺伝子の網羅的同定とTILLING育種への活用
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14J06914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 喬 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 魚類 / 育種 / 養殖技術 / 分子進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物には広く共通して保存されている遺伝子が多数あり、そのような遺伝子は生物全般の恒常性維持において非常に重要な遺伝子であると考えられている。本研究の目的は真骨魚類で共通して存在し、その機能も良く保存されている遺伝子群を「魚類コア遺伝子」として網羅的に同定し、将来の水産育種、養殖技術開発の情報基盤としようとするものである。 魚類コア遺伝子たる必要条件として、解析対象とする真骨魚類全てに存在し、かつアミノ酸配列レベルで多様化が進んでいないことが挙げられる。そこで今年度は、まず解析対象となる全9魚種のプロテオームデータを用いて、全遺伝子の1対1同祖(オルソログ)関係を推定し、アミノ酸をコードするコドン配列の分子進化速度ωを指標として多様化の程度を推定することとした。 以上の全ての解析を半自動的に行ってくれるソフトウェアは今のところ存在しないので、まず解析パイプラインの構築を行った。解析毎の入力データのフォーマット変換や繰り返し処理等は自作のperlスクリプトにより行った。 解析の結果、真骨魚類で1対1オルソログ関係にある約5,500の遺伝子群を同定した。全てのオルソログ遺伝子群のコドン配列を整列化し、それぞれについてωを推定したところ、501オルソログ遺伝子群で多様化が観察されなかった。これは進化学者の視点からすると明らかに少なすぎる数だった。また、多様化が観察されなかったオルソログ遺伝子群の中には細胞生物学的に重要な遺伝子が多く存在すると予想されたが、そのような結果は得られなかった。予想と大幅に異なる結果を得た主たる要因は解析手法にあることが疑われた。そこで、問題点の洗い出しと改善方法の検討を行った。現在までに大部分の問題点の洗い出しと改善策の策定は終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度中にコンピューター解析による魚類コア遺伝子の同定を終了する予定だったが、予想外の問題により解析が終了出来なかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の解析の問題点を以下に列挙する。 1.異なるスプライスバリアント選択による偽Positive Selection検出 2.マルチプルアライメントの不確実性による偽Positive Selection検出 3.多重検定による第一種の過誤の割合の増加 4.Positive Selection推定におけるアルゴリズムの問題 平成27年度はまず以上4点について現在考えている改善策を実施し、結果を検討する。
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Research Products
(3 results)