2015 Fiscal Year Annual Research Report
がんの近赤外セラグノーシスを実現する多機能性ジラジカル錯体の創製
Project/Area Number |
14J06921
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田村 昂作 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | セラグノーシス / 近赤外吸収プローブ / 酸化還元応答 / マクロサイクリック配位子 |
Outline of Annual Research Achievements |
GSHの配位子置換反応に対して熱力学・速度論的に安定な錯体の創製を志向し,2個の3,4-ジアミノベンゼンスルホン酸(DABS)のNH2基をプロピル基で連結した配位子PABSを設計し,PtII-PABS錯体を合成した.錯体の吸収スペクトルのpH依存性を調査したところ,高pHから中性条件下で723nmにNIR吸収を示した.一方,低pH条件ではそのNIR吸収がOFFになり,新たに860 nmに極大吸収を持つ吸収帯を示した.この吸収スペクトル変化の機構を調査した.まず,既存のジラジカル錯体の吸収スペクトルとの比較から,高pH条件ではジラジカル構造をとりNIR吸収を示すと推測する.一方,低pH条件では錯体が一電子酸化され,さらに二量化している可能性が高い.すなわち,本錯体の吸収スペクトル変化は,ジラジカル錯体の一電子酸化および一電子酸化体の二量化に起因するといえる.また,吸収スペクトル変化の起きるpH領域は,PtII-DABS錯体の場合と比べて酸性側にシフトした.現在,配位窒素元素を炭化水素鎖で修飾したことにより,窒素上の電子密度が変化し,錯体の酸化還元電位に影響を与えたと推測している.続いて,一電子酸化二量体のGSHの配位子置換に対する安定性を調査した.その結果,GSHが10 mM存在する場合の錯体の半減期は約2分であることを明らかにした.配位子部位が酸化されることによって電子密度が減少し,配位元素の求核性が減少したことに起因すると推測する.すなわち,GSHの配位子置換に対してより安定性の高い錯体の開発が必要である. 錯体のさらなる安定化を志向し,マクロサイクリック配位子の合成を試みた.参考文献をもとに,2つの3,4-ジアミノ安息香酸エチルをアセチルアセトンによって架橋したマクロサイクリック配位子の合成を試みた.現在までに,目的の配位子の前駆体の合成を完了している.
|
Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)