2014 Fiscal Year Annual Research Report
ホスト生物の地理的クラインとWolbachia感染ダイナミクスの解明
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14J07028
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
角 拓人 岡山大学, 環境生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ボルバキア / ボルバキア密度 / 季節性 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道を除く日本全国に分布するチョウ目昆虫ヤマトシジミを用いて,細胞内共生細菌ボルバキアの地理的な密度変化を調査した。調査した地点は全部で14地点(宮城県仙台市,茨城県つくば市,千葉県千葉市,大阪府大阪市,兵庫県洲本市,岡山県美作市,岡山県新見市,岡山県岡山市,香川県まんのう町,大分県中津市,大分県佐伯市,鹿児島県鹿児島市,鹿児島県屋久島町,沖縄県西原町)であり,各地点で1回の採集につきオスを8-25頭程度採集した。8地点(茨城県つくば市,岡山県美作市,岡山県岡山市,香川県まんのう町,大分県中津市,大分県佐伯市,鹿児島県鹿児島市,沖縄県西原町)では季節の異なる複数月にも採集を行った。その結果,各地点でヤマトシジミのボルバキア感染率は非常に高く,地点間で感染率が異なることはなかった。一方で,細胞内密度は地点間でボルバキア密度が大きく異なることが明らかとなったが,密度変化は地理に依存しているわけではなく,高密度と低密度の地域が点在していることが明らかになった。また,季節間では春から秋にかけてボルバキア密度が減少することが明らかになったものの,それは夏季に減少が大きいためと考えられ,秋には増加に転じる傾向がみられた。同様に,ヤマトシジミの体サイズも季節に応じて変化していることがわかった。 本研究の意義は,今後ボルバキアを応用研究する際,あるいは細胞内共生細菌がどのような振る舞いを宿主体内で行っているのかを理解することにある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定では,ヤマトシジミの採集のみを該当年度に行う予定であったが,ボルバキア密度の解析まで進んでいることから,概ね順調に進んでいると判断する。また,地点間のボルバキアとヤマトシジミの遺伝子解析も行っており,この点でも順調に進んでいると判断している。 一方で,同時に進める予定であったヒラタコクヌストモドキについてはこれから解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度明らかにした季節間のボルバキア密度変化のより詳細な解析を行うため,定点を幾つか設定する。設定した定点において,ヤマトシジミのオスを発生期に合わせて4月から11月まで採集を行う。その結果,各発生期のどこでボルバキア密度が高くなり,低くなるのか,季節に応じた密度ダイナミクスの変化を明らかにする予定である。 また,ヤマトシジミを飼育し,ボルバキアが宿主であるヤマトシジミにどのような影響を与えているのかについて調査する。特にどのような繁殖操作が生じているのかを明らかにすることがボルバキア感染ダイナミクスの理解へ大きく貢献すると考えられる。室内で維持しているヒラタコクヌストモドキについても同様に調査する予定である。
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Research Products
(1 results)