2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J07044
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
丸山 啓志 京都大学, 総合博物館, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | イルカ / 化石 / 頭骨 / CTデータ / 音響機能 / 気洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
現生イルカ類,特にマイルカ上科の系統進化を考える上で,直接祖先となる科が出現・放散した中新世は重要な時代である.その中でケントリオドン科から現生マイルカ上科が派生したと考えられている.ところが,このケントリオドン科を含むマイルカ上科の分類の詳細はわかっていない.これは,種内変異の幅を考慮されていないことによるところが大きい.そこで,種内変異をきちっと把握した上で化石種の分類基準の再検討を行うことで,中新世以降のイルカ類(特に,マイルカ上科)の系統関係を明らかにできると考える.そのために,現生イルカ類の頭骨の形態解析を,従来の主成分分析やshape analysis(ランドマーク法等)と合わせて,線形では計測・表現のしにくい「難計測的形質」に見られる変異の幅について明らかにすることを目的とした.本年度は,この頭骨の形態解析に必要な基礎データの収集を行った.現生種については,国内の各収蔵機関から借用した頭骨を用い,網羅的にCT撮像データの収集を行った.この中には,イルカ類の中でも音響機能の面で特有なスナメリをはじめとするネズミイルカ科やマイルカ科のセッパリイルカ属のイロワケイルカを含まれる.また,化石種については,国内外の収蔵機関で標本調査を実施し,系統解析に必要なデータの収集を行った. 今後は,この現生種の結果に基づき,化石イルカ種の分類基準を見直し,ケントリオドン科を含むマイルカ上科の系統進化を解明する.また,イルカ類の多様な系統進化を考える上で,イルカ類に特異なエコーロケーション(音を使用して周囲の環境を把握する)能力の獲得が重要である.イルカ類頭骨に特有の「気洞」と音響機能の関係性を明らかにし,脳と音響機能の研究についても検討する.この系統進化と音響機能発達を照合し,音響機能の発達がイルカ類の多様化の要因となったことを古生物学的に検証する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度については,基礎データの収集については,当初の計画よりも進んだ.その一方で,3次元データの解析が計画よりも進展が見られなかった.このことから,研究の進捗状況については,進んだ分と遅れた分が相殺され,当初の計画通りの進行具合といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進策としては,十分な基礎データの収集を終えたので,これらの解析を行っていく.これには,shape alalysisを,既存の研究と比較しやすい2次元での解析と「難計測的形質」の定量化に有効な3次元での解析を並行して行う.これにより,「難計測的形質」の定量的評価および分類基準の再検討を行う.また,これまで得られた骨格・化石の三次元データ基に,モデリングを行い,「気洞」と音響機能(特に聴覚)との関係を明らかにする.そして,現生イルカ類の祖先的分類群であるケントリオドン科の系統進化とイルカ類における音響機能の発達史を照合することで,イルカ類の多様化と音響機能の関係を明らかにする.合わせて,endocastを用いた脳容積の発達との関連も明らかにする.
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Research Products
(8 results)