2014 Fiscal Year Annual Research Report
市民参加を促す多文化的社会科カリキュラムの研究:カリフォルニア州の議論に着目して
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14J07045
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 修平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 公民教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、改訂が進められているカリフォルニア州の教育課程「歴史-社会科学フレームワーク」が、市民参加の促進への工夫のために、2005年に公表された現行版からどのように変化するかを明らかにするという研究目的を達成するために、本年度は以下の作業を行った。 一つ目は、カリフォルニア州教育省及び教育委員会から公表される改訂作業の進展状況についての情報収集である。同フレームワークは、草稿の公開→専門家によるレビュー→2度目の草稿の公開→州内の住民によるレビュー→完成版の公開というプロセスを経て改訂されることになっており、2015年度中は、2度目の草稿の公開というところまで進展した。同フレームワークの改訂作業は、当初発表されていたスケジュールからかなり遅れているが、2016年度中に完成版が公開されるとアナウンスされたため、その公開を待って最終的な分析を行う予定である。 二つ目は、カリフォルニア州内で同フレームワークの改訂がどのように報じられているかを明らかにするために、Sacramento BeeやSan Francisco Chronicleといった地元紙を収集し内容を検討した。州都サクラメントで発行されているSacramento Beeは、フレームワーク改訂による公民教育の改善を期待する論説を2015年だけでも3度掲載しており、フレームワーク改訂への関心の高さがうかがえた。論説の中では、プロジェクト・ベースト・ラーニングや時事問題のディスカッションといった選挙への関心を高める効果が高いとされる教育方法について、低所得層の多い地域の高校生より富裕層の多い地域の高校生の方が、それらを経験する機会が多いという調査結果を示し、フレームワークの改訂によって、こうした状況が改善されるだろうということが論じられていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究対象としているカリフォルニア州の「歴史‐社会科学フレームワーク」の改訂作業が遅れているため、本研究も当初の計画通りには進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、研究対象としているカリフォルニア州の「歴史・社会科学フレームワーク」の改訂作業が完了するとアナウンスされているので、同フレームワークの変化について検討を行う予定である。また、カリフォルニア州内の地元紙を収集して社会科教育関連の記事や論説を検討する中で、元連邦最高裁判事Sandra Day O'Connorによって設立された団体「iCivics」によって作成された公民教育に関するオンラインゲーム教材が、カリフォルニア州をはじめ全米で近年注目されていることが分かった。そのため、彼女を中心に作成された教材についての調査も今後行いたいと考えている。
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