2014 Fiscal Year Annual Research Report
広域津波被害の連鎖・複合性解明と国難災害に備える減災策の立案
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14J07122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 里美 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 2011年東北地方太平洋沖地震津波 / 津波複合被害 / 津波火災 / 被災シナリオ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,巨大地震津波が臨界都市を襲う際に発生する津波複合被害について,そのメカニズムの解明に着手した.具体的には,下記の技術課題に取り組んだ. 【課題1:複合的・連鎖的に発生する津波被害の全容把握】 課題(1)では,主に2011年東北津波によって,沿岸部を中心に生じた津波被害の全容を把握した.まず,今次津波にて発生した津波複合被害の一覧を作成したところ,その特徴として,「発災直後に発生して人的・物的被害をさらに拡大させたもの」および「発災後しばらくして顕在化した被害」に分類されることが分かった.前者に含まれる複合被害としては,「海岸構造物の破壊」「海岸林被害」「家屋破壊」「漂流物被害」「道路・交通障害」「可燃物流出」「津波火災」「水産被害」「ライフライン寸断」「地形変化」が挙げられる.本研究では,発災直後から浸水終息(火災鎮火)までの期間が最も危険であり,また複合被害の抑制において特に重要であると考えたため,今後はこれらの被害に着目することとした. 【課題2:複合・連鎖パスの構築と被害拡大要因の分析】 課題(2)では,個別被害から複合的津波被害に至るまでの過程・機構を整理した.特に,被災沿岸部で発生した津波火災について各地の被害状況を整理し,その発生・連鎖パスを作成した.その結果,いずれの地域においても,「家屋倒壊」「車(船舶)の漂流物化」「がれきの大量発生」「可燃物流出」の個別被害が連鎖したために,出火・延焼が促進されたことが明らかになった.また,津波火災が発生することにより,現地の状況把握や水利確保が困難となって消火活動が妨害され,さらなる大規模延焼を引き起こした地域も少なくない.したがって,津波火災を減少させるためには,主な被害拡大要因である「家屋倒壊」「車(船舶)の漂流物化」「がれきの大量発生」「可燃物流出」を予測・抑制することが重要と考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の目標のひとつであった「津波複合被害の全容把握」については,2011年東北津波の被害状況を調査・整理したことにより,概ね達成できた.また,「津波複合被害の発生・連鎖パスの作成」および「被害拡大要因の解明」に関しては,津波火災に対する分析を行うことができた.したがって,本研究課題は概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,巨大地震津波によって発生する被害の全容を把握したほか,津波火災の発生・連鎖パスを構築することで,被害拡大要因を明らかにすることができた.平成27年度は,他の複合被害に関してもそのメカニズムを解明し,被害拡大の転換点となっている要素に対して,効果的な減災策を考える.そして,その一環として,複数の被害予測モデルを統合させた,津波複合災害シミュレーションモデルの検討を行う予定である.
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Research Products
(6 results)