2014 Fiscal Year Annual Research Report
Numbの非対称分裂に関与しない新規な機能に関する研究
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14J07151
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
具志堅 拓磨 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | Drosophila / cellularization / Notch / Numb |
Outline of Annual Research Achievements |
Notch受容体 (Notch) を介したシグナル (Notchシグナル) は、細胞間の接触による細胞間相互作用において重要な働きを担っている。Notchシグナルは、多細胞動物で広く保存されており、ヒトでは、白血病や癌、様々な遺伝病と関係している。しかしNotchシグナルには不明な点も多くあるため、これらの疾患の有効な治療法の開発の障害になっている。そこで申請者はモデル生物であるショウジョウバエを用いて、Notchシグナルに関わる遺伝子の遺伝的探索を行い、得られた突然変異体の機能解析により、Notchシグナルの機能の理解を深めようとした。この探索によって得られたNumbは、その母性効果(母由来のタンパク質やmRNAによる効果)を除いたNumb突然変異ホモ接合体胚(numb m/z)において、本来は“はしご状”の中枢神経系が、“メビウスの輪”のようにねじれていることがわかりました。Notchシグナルの異常によってこのような表現型が誘発されることはこれまでに報告がなく、Notchシグナルの新規な機能との関連が予測できました。申請者は、NumbがNotchシグナルの抑制因子であることを考えると、この表現型は、発生の初期におけるNotchシグナルの亢進によって誘発されている可能があると考えました。そこで、生殖細胞でNotch細胞内ドメインを過剰発現した胚を観察したところ、numb m/z胚とよく似た、ねじれた中枢神経系が認められました。このことから、NumbによるNotchシグナルの抑制が、これまでに知られていなしプロセスで機能していることが示唆できました。これらの研究は、これまでに知られていないNumbの機能と、その機能によるNotchシグナルの新規な制御機構の重要な知見をもたらすことが期待されます。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実地計画に記載されている、細胞化が異常になる突然変異でメビウスの輪状神経系の表現型を示すものの探索が不十分であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞化が異常になる突然変異でメビウスの輪状神経系の表現型を示すものの探索を完遂し、この探索により同定された突然変異体がnumb m/z胚と同様の細胞極性、細胞接着、細胞骨格の異常を示すか検討する。またNumbの新規な機能とNotchシグナルの関係性を解析します。
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