2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度・高靭性ハイブリッド型繊維補強セメント系材料の開発
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14J07167
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
クォン ソクミン 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | UHP-HFRCC / Multi-Scale / Self-healing / Ductility |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,主に以下の3つの項目について検討を行った。まず,超高強度コンクリートの高靱性化を達成するため,繊維補強を,繊維のサイズにより3段階に分け,ひび割れ発生段階のミクロサイズのひび割れからメゾ,マクロサイズのひび割れまでを段階的に架橋する「Multi-Scale Fiber-Reinforcement System」の材料設計コンセプトを提案した。本提案による補強メカニズムを高強度マトリックスに適用する事により,繊維補強セメント複合材料に更なる引張強度・高靭性を持たせることを確認した。本検討項目では,ミクロ繊維として鉱物繊維であるワラストナイト繊維を採用し,繊維としてミクロレベルのひび割れ架橋効果があることや,その架橋メカニズムを実験によって明らかにした。二つ目はUHP-FRCCの最も重要なひずみ硬化現象を起こす最低繊維混入率を決定する手法について提案した。Prof. Fantilliは繊維とマトリックスの付着とひび割れ間隔に着目して,ひずみ硬化の実現と繊維混入率に関する理論モデルを提案している。しかし,このモデルの適用には付着係数が必要である一方で,超高強度マトリックスの付着係数を得る方法は確立されていない。ここでは,破壊力学の観点から寸法効果に基づいて付着係数を得る方法を提案し,この適用によって付着係数を得ることに成功した。最後に,本研究で開発されたUHP-HFRCCはひび割れを生じながら性能を発揮する材料であるため,ひび割れに対する耐久性の検討が必要である。UHP-HFRCCの自己治癒性能について検討を行い,自己治癒により耐久性の問題を解決することを目的とした。その結果UHP-HFRCCの性能を発揮する際に発生するひび割れは,ひび割れ幅が0.07mm以下と微細であり,28日間の水中浸漬によってひび割れを自己治癒が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高強度繊維補強セメント複合材料(Ultra-High-Performance Fiber-Reinforced Cementitious Composites)について、コンクリートの破壊 力学を発想の起点としてする異なるサイズの補強繊維を組み合わせる「Multi-Scale Fiber-Reinforcement System」による新しい材料設計手法を提案し、その有効性を主に実験的な手法により示す研究に取り組んだ。数多くの実験を体系づけて行い、異なる形状・サイズの補強繊維が、破壊進行領域に見られるような極めて微細なひび割れから、これらの集積によってひび割れがメゾ・マクロレベルに進展する過程において、それぞれ対応するレベルのひび割れをシームレスに補強して、各繊維を単独で用いた際には得られない複合効果が得られることを確認した。加えて、混入繊維量の削減を目的とした解析モデルの拡張や、自己修復効果による耐久性の問題にも取り組み、いずれについても十分な成果を得た。 これらの結果、対外発表論文に加えて、学位論文を纏めて博士の学位を取得しており、十分な研究成果が挙げられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で検討を行った結果により,UHP-HFRCCの材料設計法を提案する。また,最適繊維混入モデルをUHP-HFRCCに適して得られた繊維混入率を適用し,実験的にその妥当性を検証する。最後にUHP-HFRCCの自己治癒性能を定量的に評価して,自己治癒可能な範囲を検証する。
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Research Products
(5 results)