2014 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルファブリケーション技術を用いた弾性特性の設計・製作のための情報環境の構築
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14J07193
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大嶋 泰介 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | デジタルファブリケーション / コンピュテーショナルデザイン / コンピュテーショナルマテリアル / CAD/CAE/CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では形状(パターン)を物質に加工(3DプリントやCNC(computer numerically controlled)カット)することで、物質の弾性特性を設計・製作する技術に着目し、その技術を汎用化、拡張するために必要な情報環境の構築を目的としている。2014年度は研究の基礎と成るもっともベーシックなパターンの特性について調べ、モデル化および実験を行った。具体的には以下の5点を行った。①kerfcutやdukta(商標(*1))と呼ばれているパターンのモデル化を行った。ここでは、パターンとそのパターンを加工されたオブジェクトが持つ弾性率との関係を解析的に導出した。また、弾性率のみではなく、パターンを加工されたオブジェクトの大域的な歪み度をパターンを構成するパラメータから導出した。これにより、パターンを決定すると、そのパターンが加工されたオブジェクトの"柔らかさ"および"堅さ"(弾性率)とそのオブジェクトがどのくらい伸びるか(歪み度)を決定することができる ②パターンを構成するパラメータと、パターンを加工されたオブジェクトの弾性特性との関係に関する次元解析を行った。これにより、パターンを構成するパラメータが①で導出した弾性率および歪み度にどの程度の乗数で作用するかを理解することができ、パターンの特性について明示的に理解することができる③モデル化をベースにした物理シミュレーションの実装を行った。④物理シミュレーションと実物による実験で得られる弾性特性の比較実験を行っている。⑤パターンを用いて弾性特性を設計するための簡易システムの実装を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最もベースとなるパターンの解析モデルの構築、簡易なシミュレーションの実装は完了しており、今後、この基礎となるパターンを組み合わせて発展させるためベースを構築した。理論的な学習と同時並行でこのような研究活動を行っており、そのバランスをうまくとることにやや苦労したが、おおむね順調に進展していると自己評価する。研究全体の達成度は全体の四分の1程度と考えており、今後のなおいっそうの研究の進展が必要となると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度で行った解析モデルをベースとした設計システムの実装、また、ここでモデル化したパターンを2次元平面上に最適配置するためのモデルおよびアルゴリズムの構築を目指す。とくに2年度では特殊弾性体(負のポアソン比を持つ素材)に注目し、これまで培ってきたパターンの特性を利用することで、特殊弾性体を構築するための理論およびシステムの構築にも取り組む。
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