2014 Fiscal Year Annual Research Report
高機能生体材料創製を可能とする先進プラズマ表面処理プロセスの開発
Project/Area Number |
14J07212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 こずえ 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 生体材料 / チタン合金 / 生体適合性 / 表面処理 / グロー放電プラズマ / 発光分光分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化、疾病、事故によって失われた人体機能の再生・再建のために種々の機能性材料が利用されており、救命、治療およびQuality Of Lifeの向上に貢献している。体内埋入型デバイス(インプラント)の約80%はその優れた強度と靱性から金属材料が使用されているが、一方で、力学的特性発現に有用な合金元素が体内へ溶出した場合、毒性を示す例が報告されている。このため、安全性の確保が組成探索に基づく高機能合金開発のボトルネックとなっている。本研究の目的は、この問題を克服するための新しい表面処理技術を構築することである。これまでの研究では、最も頻用されている実用合金のひとつであるTi-6Al-4V合金に対し、酸素グロー放電プラズマを用いて「生体適合を促す表面酸化層形成」と「毒性元素(Al, V)の表面クリーニング」を同時に実現する新しい表面処理法の開発に成功した。 本年度は主に、酸素グロー放電プラズマ中における酸化皮膜形成および表面クリーニングのメカニズムの解明に取り組んだ。酸素グロー放電プラズマの電気特性を調査すると、プラズマガス圧に依存して、プラズマ内部の電流密度および形状が大きく変化することが判明した。また、発光分光分析を用いたプラズマ解析の結果から、酸素グロー放電プラズマ内部には、電気特性や形状に依存しない三種類の酸素活性種が存在することが明らかとなった。特に正電荷を持つ活性種は試料ステージを兼ねた陰極に向けて加速されるため、毒性元素のクリーニング現象はこれらが引き起こす選択スパッタリングが原因であるという結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
設定した課題に対して、当初から考えていたアプローチ法がうまく適合し、おおむね予定通りに成果を上げることができた。しかしながら、成果の発表が国内学会での口頭発表に留まっているので、翌年度に論文発表できるよう取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の最も重要な課題は、新規プラズマ表面処理法の開発である。これまでに解明した機能発現メカニズムに関する知見を基に、省エネルギーかつ短時間で実現可能な効率の良い表面処理プロセスの構築を目指す。具体的には、プラズマを生成するための放電電極の形状の変更や混合ガスプラズマの導入等を検討している。 この他にも、当初の研究計画には予定していなかったが、先進的な解析法を用いたX線分析により、国内にて開発された次世代金属材料の高機能発現メカニズムの解明にも取り組む予定である。
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Research Products
(12 results)