2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J07702
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平田 哲也 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 網羅的解析 / 細胞内輸送 / GPIアンカー |
Outline of Annual Research Achievements |
グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型蛋白質の輸送に関与する遺伝子の網羅的なスクリーニングを行い、その機能を解析する事によりGPIアンカー型蛋白質の輸送機構を明らかにすることを目的として研究を行った。本年度はGPIアンカー型蛋白質の輸送に関与する遺伝子の網羅的なスクリーニング及び得られた遺伝子の機能解析を行った。まず、ヒト半数体細胞株であるHAP1細胞にGPIアンカー型蛋白質の輸送を追跡するためのレポーター蛋白質を安定的に発現させた細胞株(HAP1-FF9細胞)を樹立した。このレポーター蛋白質はVesicular stomatitis virusのG蛋白質の温度感受性変異体(VSVGts045)にFLAGタグ、GFP、GPI付加シグナル配列を持ったキメラ蛋白質である。次に、HAP1-FF9細胞に遺伝子トラップベクターを用いて変異を導入し、GPIアンカー型レポーター蛋白質の輸送が遅延した細胞をセルソーターで濃縮し、次世代シークエンサーを用いて遺伝子トラップベクターの挿入箇所を同定した。その結果、エンドソーム-トランスゴルジ網(TGN)間の逆行輸送に関与する蛋白質複合体であるGARP複合体のサブユニットをコードする遺伝子を同定する事が出来た。CRISPR-Cas9システムを用いてGARP複合体をノックアウトした細胞を作出し、解析したところ、GPIアンカー型蛋白質のゴルジ体以降の輸送が遅延することが明らかとなった。このことから、エンドソーム-TGN間の逆行輸送の異常によりゴルジ体-細胞膜間の順行輸送が遅延することが明らかとなった。この結果は、GPIアンカー型蛋白質の輸送に必須な分子がエンドソームを経由してTGNへとリサイクルされることを示していると考えられる。今後、そのような分子の実態を解明する上で重要な情報となり得ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の目的はGPIアンカー型蛋白質の輸送に関与する遺伝子の網羅的同定及びその機能解析であり、その目標は上述の通り達成できた。その理由は、GPIアンカー型蛋白質の輸送に関与する遺伝子の網羅的なスクリーニングを行った際、想定外の事が起こらず、計画通りに実験を進める事が出来たからだと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、GPIアンカー型蛋白質の輸送に必須な分子はエンドソームを経由してTGNへとリサイクルされていると考えられるので、そのような分子の実態の解明を試みる。GARP複合体のノックアウト細胞ではGPIアンカー型蛋白質の輸送に必須な分子が不足している事が考えられるため、GARP複合体のノックアウト細胞にcDNAライブラリーを導入し、GPIアンカー型蛋白質の輸送遅延が回復した細胞を、セルソーターを用いて濃縮する。濃縮した細胞に導入されていたcDNAはGPIアンカー型蛋白質の輸送に必須な分子をコードする可能性が高いと思われるため、得られた遺伝子の機能を解析する。また、GPIアンカーの構造変化、特にGPIイノシトールの脱アシル化はGPIアンカー型蛋白質の効率的な輸送に必須であることから、GPIイノシトールの脱アシル化に関与する遺伝子を網羅的にスクリーニングすることも試みる。スクリーニングは輸送で行ったように、ヒト半数体細胞株と遺伝子トラップ法による変異導入を組み合わせた手法で行う。
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