2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J07741
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末廣 亘 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | オオハリアリ / 侵略的外来種 |
Outline of Annual Research Achievements |
侵略的外来種の中でも、生態系や人類経済に特に深刻な影響を与えうる分類群の1つがアリである。侵略的外来アリが“侵略的”たり得るための最も重要な特徴の一つとして、融合コロニー制が挙げられる。これまで、侵略的外来アリの融合コロニー制の検出やコロニー規模の推定には、ワーカー1個体ずつをシャーレ内で遭遇させ行動を観察する「1対1攻撃性試験」が用いられてきた。しかし、これまでの我々の研究から、日本から北米へと侵入した侵略的外来アリ種であるオオハリアリにおいては従来の1対1攻撃性試験では融合コロニー制の検出やコロニー規模の推定が困難であることが明らかになっており、融合コロニー制の検出やコロニー規模の推定に至っていなかった。 そこで本年度は、シャーレ内で複数個体を一定時間飼育して巣を形成させた後、そこに異なる地点から得た個体を導入し、その個体に対してホストコロニーの個体が導入個体に対してどのような振る舞いをするかを観察した(「巣内導入試験」)。また、既存の手法である1対1攻撃性試験も同じ組み合わせで行った。本試験は、オオハリアリの自然分布域と、侵入地域において同一の手法で行った。その結果、1対1攻撃性試験では観察されなかった攻撃行動が巣内導入試験において有意に高い頻度で観察することができた。この結果は、オオハリアリが巣仲間認識能力を有し、融合コロニー制をもたないことを示唆している。さらに、1対1攻撃性試験では攻撃性を示さないことから、オオハリアリは巣仲間認識を有し、巣内部への侵入者に対しては攻撃行動を示すものの、巣外では種内闘争を起こさないことが示唆される。このことは、オオハリアリがスーパーコロニー制を持たないにも関わらず、巣外での攻撃性の低さから種内競争のコストが小さく、融合コロニー制と同様の利益を得ることができていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの研究者と協力し、多面的にオオハリアリの侵略機構を解明しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の手法を用いて実際にコロニー境界の推定を行う。また、他の侵略的外来アリ種との相互作用についても明らかにする。
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Research Products
(4 results)