2014 Fiscal Year Annual Research Report
組合せ最適化にもとづくネットワーク符号化アルゴリズムの研究
Project/Area Number |
14J07749
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相馬 輔 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 国際会議発表 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,「ISIT2015での研究発表」「低ランク行列基底問題への実用的アルゴリズムの開発」「整数格子点上の劣モジュラ最適化への近似アルゴリズムの開発」の3つの成果があった. まず,「ISIT2015での研究発表」については,情報理論のトップ会議であるISIT 2015で“Multicasting in Linear Deterministic Relay Network by matrix completion”という題で口頭発表を行った.本成果は,無線通信ネットワークのモデルとしてAvestimhr, Diggavi, Tseにより提唱された “Linear Deterministic Relay Network (LDRN)” 上のマルチキャスト問題に対して,既存のYazdi, Savariによるアルゴリズムより高速なアルゴリズムを与えたものである.本成果はISITでのフィードバックを反映し, IEEE Transaction on Information Theoryに投稿済(現在査読中)である. 次に,「低ランク行列基底問題への実用的アルゴリズムの開発」では,同じ研究室の中務佑治助教とベルリン工科大学のAndre Ushmawjev氏との共同研究を行った.低ランク行列基底問題は,与えられた行列の線形部分空間から,ランクの和が最小な基底を求める問題である.これに対し,連続最適化に基づく実用的なアルゴリズムを与えた. 最後に「整数格子点上の劣モジュラ最適化への近似アルゴリズムの開発」がある.これは,2013年にERATO河原林巨大グラフプロジェクトに参加した際の成果であるが,組合せ最適化の実問題への応用として採択された研究課題とも非常に近い問題であるため,研究を続行したものである.まず,本成果についてICML 2014で口頭発表した.また,フォローアップ研究としてNIIの吉田悠一助教(現: 同准教授)と,各軸方向に凹性をもつ整数格子点上の劣モジュラ最適化について論文をまとめた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まず行列補完を利用してLDRN上のマルチキャスト問題の既存アルゴリズムを改良できた点は,「行列補完を応用してネットワーク符号化のアルゴリズムを得る」という1年目の目標通りの成果であり,まずまずであると言える.また,「低ランク行列基底問題への実用的アルゴリズムの開発」では,初の海外研究者との共同研究を行い,得られた成果を論文としてまとめることに成功した.さらに,「組合せ最適化にもとづくネットワーク符号化アルゴリズムの研究」という学振特別研究員としての研究課題以外の成果として,整数格子点上の劣モジュラ最適化に関する成果を挙げることもできた.また,機械学習のトップ会議ICMLで口頭発表を行った.このように,当初の研究計画を超えた様々な成果が得られたと考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究課題は「多品種フローを用いたネットワーク符号化容量計算アルゴリズムの開発」である.これは,多品種フローの様々なカット概念を利用することで,ネットワーク符号化容量を決定ないし近似するアルゴリズムを追求するものである.本研究においては,多品種フロー・ネットワーク符号化双方の知識が不可欠であるため,これらの既存研究をサーベイするところから始めたい.また,海外の最新の研究もISITなどの場で吸収し,アルゴリズムの開発につなげる予定である.
|