2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規アミド保護基を利用したペプチド性天然物の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
14J07872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
並河 亮太 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | N-メチルアミノ酸 / N-メチル化 / 環状ペプチド / 抗腫瘍活性ペプチド / デプシペプチド / ペプチド性天然物 / IB-01212 / omphalotin A |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、医薬品の多くを占める低分子化合物とは異なる、新たな創薬シーズの開拓が重要な研究課題となりつつある。ペプチド性化合物は重要な創薬シーズであるが、一般にその脂溶性の低さに起因する低い膜透過性により、創薬における研究対象として敬遠されることが多かった。しかしながら、シクロスポリンやcoibamide Aをはじめとする、医薬品シーズとして有望な生物活性を持つ環状ペプチドは、いずれも多数のN-メチルアミノ酸を含んでおり、低分子化合物と同様に受動拡散により細胞膜を透過して薬理作用を示すことが報告されている。これらのペプチド性天然物の新規合成法を確立すれば、新たな創薬シーズの開拓につながると考え、ペプチド性天然物に含まれる複数のN-メチルアミド結合を、適切な保護基を付した条件下ペプチド結合のN-メチル化により誘導する方法を立案した。本合成法を確立するためのモデルとして、抗腫瘍活性環状ペプチドIB-01212と抗線虫活性環状ペプチドomphalotin Aを選択した。これらのペプチドを合成する過程で、N-メチル修飾基を必要としないペプチド結合に保護基を施した非N-メチル化修飾ペプチドを合成し、これに対し酸化銀とヨウ化メチルを作用させることで、望みの位置に一挙に複数のN-メチルアミドを構築することに成功した。この際の保護基として、IB-01212の合成においては5, 5-ジメチルオキサゾリジンを用い、omphalotin Aの合成においては2, 4-ジメトキシベンジル基を用いた。このN-メチル化反応の後、官能基変換や環化反応など数工程を経て、目的のIB-01212の合成に成功した。Omphalotin Aの合成では、合成過程におけるラセミ化およびアミノ酸の縮合効率の低下が課題として顕在化したため、さらなる最適化が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複数のN-メチルアミド結合をペプチド結合のN-メチル化により誘導する方法を確立し、IB-01212を合成することでその有用性を実証したものの、omphalotin Aの合成では、合成過程におけるラセミ化およびアミノ酸の縮合効率の低下が課題として顕在化した。
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Strategy for Future Research Activity |
omphalotin Aの合成において課題となった、合成過程におけるラセミ化およびアミノ酸の縮合効率の低下について、条件を最適化することで克服する。
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Research Products
(4 results)