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2014 Fiscal Year Annual Research Report

糖質加水分解酵素における糖転移反応の触媒機構-X線結晶構造解析による解明

Research Project

Project/Area Number 14J07951
Research InstitutionKinki University

Principal Investigator

梅本 尚之  近畿大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2014-04-25 – 2016-03-31
KeywordsX線結晶構造解析 / 糖転移活性 / トリプトファン残基 / キチンオリゴ糖 / キチナーゼ
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、まず、CrChiAのX線結晶構造の決定を試みた。500条件のスクリーニングの結果、CrChiAの結晶化に成功し、1.58Aの高分解能で結晶構造を決定することができた。決定したCrChiAの構造を、既に構造が明らかとなっているAtChiC、NtChiVと比較したところ、CrChiAにのみ付加的なループ構造が存在し基質結合クレフトを形成していることが明らかとなった。また、このループ構造周辺には、基質結合に重要とされる芳香族アミノ酸残基のクラスターが存在していることがわかった。さらに、GH18キチナーゼの触媒反応に重要なアミノ酸残基群(DxDxE motif)の配向にも違いがみられた。このことから、これらの構造の違いがCrChiAの反応性の違いをもたらしていることが示唆された。次に、不活性変異体CrChiA-E119Qとキチンオリゴ糖の複合体結晶構造の決定を試みた。その結果、アクセプター結合サイトに(GlcNAc)3が結合した複合体結晶構造を1.3Aの高分解能で決定することに成功した。この構造を詳細に解析したところ、先ほど述べた芳香族アミノ酸残基クラスターを形成している残基の一つであるトリプトファン残基、Trp168が末端の糖残基とCH-πスタッキング相互作用していることが明らかとなった。このことから、Trp168がCrChiAの糖転移反応の発現において最も重要なアクセプター分子との結合に関わるアミノ酸残基であることが示唆された。以上の結果から、本年度ではCrChiAの糖転移活性をもたらす機能構造を明らかにすることができた。本研究の要であるCrChiAおよび基質複合体の結晶構造を決定できたことは非常に良好な結果であるといえる。また、糖転移活性の発現に関わるアミノ酸残基を推定できたことは非常に意義あるものであり、今後の本研究の発展につながると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、顕著な糖転移反応を示すCrChiAと、示さないAtCiC、NtChiVを用いて、これらの酵素を酵素学的および構造生物学的に比較することによって、GH18において高能率に糖転移反応を引き起こす分子機構を推定することを目的とする。この目的を達成するために、本年度は、CrChiAのX線結晶構造の決定および基質であるキチンオリゴ糖およびアクセプター分子との複合体X線結晶構造を決定することを目標としていた。
本年度行った研究の結果、野生型CrChiAおよび不活性型CrChiA-E119Qと(GlcNAc)3の複合体結晶構造の決定に成功した。またAtChiC,NtChiVとの構造比較によって、CrChiAの糖転移活性をもたらす機能構造について明らかにすることができた。これらの理由から、本研究は当初の予定通りに進行していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策としては、本年度で明らかになった糖転移反応に関わると考えられるアミノ酸残基を置換した変異型酵素を作製し、糖転移反応への影響をHPLCを用いて解析する予定である。また、GH18キチナーゼの強力な阻害剤であるアロサミジンを用いて、等温滴定カロリメトリー(ITC)による結合実験をAtChiC、NtChiVおよびCrChiAの3つの酵素について行い、アロサミジンに対する結合性の違いがみられるかどうかを調査したいと考えている。さらに、AtChiCのTrp導入変異体は高い糖転移活性を示したが(Umemoto et al., Glycobiology., 23, 81-90, 2013)、同様の変異導入によってCrChiAの糖転移活性がさらに向上するのかも調べ、その結果に基づきGH18において高能率に糖転移反応が起こる分子機構を考察する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Crystal structures and inhibitor binding studies of plant class V chitinases: the cycad enzyme exhibits unique strutural and functional features.2015

    • Author(s)
      Naoyuki Umemoto, Yuka Kanda, Takayuki Ohnuma, Takuo Osawa, Tomoyuki Numata, Shohei Sakuda, Toki Taira, and Tamo Fukamizo.
    • Journal Title

      The Plant Journal

      Volume: 82 Pages: 54-66

    • DOI

      10.1111/tpj.12785

    • Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] シダ由来Family GH18(クラスIII)キチナーゼの結晶構造と機能解析2014

    • Author(s)
      ○梅本尚之、大沼貴之、平良東紀、沼田倫征、深溝 慶
    • Organizer
      日本応用糖質科学会平成26年度大会
    • Place of Presentation
      朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター(新潟県新潟市中央区)
    • Year and Date
      2014-09-24 – 2014-09-26
  • [Presentation] シダ由来キチナーゼの結晶構造と機能解析2014

    • Author(s)
      ○梅本尚之、大沼貴之、平良東紀、沼田倫征、深溝 慶
    • Organizer
      第28回キチン・キトサンシンポジウム
    • Place of Presentation
      順天堂大学本郷キャンパス・センチュリータワー(東京都文京区)
    • Year and Date
      2014-08-07 – 2014-08-08

URL: 

Published: 2016-06-01  

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