2014 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成促進因子及び抗菌性を有するリン酸塩インバートガラス材料の設計
Project/Area Number |
14J07992
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
LEE SUNGHO 名古屋工業大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | リン酸塩インバートガラス / 銀イオン / 抗菌性 / マグネシウム / ガラス形成能 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ag2O/Nb2O5含有リン酸塩インバートガラスの作製と、その溶出メカニズムを解明することを目指し、ガラスの構造解析及びイオン溶出挙動の調査を行った。また、次年度に予定していたガラスの抗菌性評価及び、さらなるイオン溶出挙動のコントロールのため、MgOを含有したガラスを作製し、Mg2+がガラスの構造及び溶出挙動に与える影響について調査を行った。
1. Ag2O/Nb2O5含有リン酸塩インバートガラスの作製及び抗菌性評価 同量のAg2OとNa2Oをの含有したガラスのFT-IRスペクトルがほぼ同じであること、31P MAS-NMRスペクトルから得られたオルト(Q0)及びピロ(Q1)リン酸の割合がAg2Oの増加に伴いQ0の割合が増加したことから、Ag+はNa+同様修飾酸化物としてリン酸鎖を切断していると考えられる。本ガラスシステムにおいて、1 ~ 3 mol%のAg2Oを含有したガラスから、3 ~ 11 uMのAg+イオンが溶出量することを確認した。これらは、E.Coli及びS.auresのグラム陰・陽性菌において、静菌性及び殺菌性を示した。Ag+イオン1 ~ 10 uMにて抗菌性を有するとの報告と一致した。 2. MgO/CaOを多量に含有するリン酸塩インバートガラスの作製 MgO含有ガラスはCaO含有ガラスに比べ、ガラス形成能が高く、Q0の含有率が比較的低いことから、リン酸鎖の切断は、多くは進んでいないと考えられる。また、Mg2+はガラス中で中間酸化物として働くと報告があることから、Mg2+はガラス網目形成を補助又は、独自のネットワークを形成する可能性があると思われる。Mg2+はガラス形成能を向上させる、かつ、細胞の接着・増殖・分化に効果があることから、リン酸塩インバートガラスのさらなる高機能化に最適なイオンと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画であった、Ag2O/Nb2O5含有リン酸塩インバートガラスの作製及び、ガラス構造・溶出挙動の評価について十分な知見を得ると共に、次年度に予定していた、ガラスの抗菌性評価もすでに終了している。また、当初予定にはなかったが、Mg2+イオンがリン酸塩インバートに与える影響を調査することにより、リン酸塩インバートガラスのさらなる高機能化について研究を進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の項目について取り込む。
1. チタン基盤コーティングターゲット作製し、実際にRFスパッタリング装置を用いて、コーティング膜の作製を行い、その特性についての評価を行う。
2. Mg2+がリン酸塩インバートガラスの構造及び溶出挙動に与える影響について解明し、リン酸塩インバートガラスのCa2+/Mg2+が共存する組成のにおいて、ガラス構造及び溶出挙動の評価を行う。
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Research Products
(7 results)