2016 Fiscal Year Annual Research Report
ジル・ドゥルーズの哲学における学習概念の教育思想史的研究
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14J07997
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
稲田 祐貴 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 西洋哲学 / 西洋思想史 / 概念史 / 事例研究 / ドゥルーズ / 教育哲学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究は大きく二つのテーマについて掘り下げるものであった。 第一に、ドゥルーズがたびたび用いている〈副〉が接頭辞として機能している一連の概念群を整理した。(1)副言の論理。副言の論理は、教育哲学における発達概念批判の文脈において自明のものとされている「ヘーゲル弁証法」とは異なる運動原理であり、人間の変容を記述する上で有効であることを明らかにした。(2)副-実現。『意味の論理学』を読解し、これまでの先行研究では非従属的な意味が強調されてきたことを批判し、ドゥルーズの議論が従属-非従属-従属-非従属・・・のプロセスを経ることを強調した。(3)副-生産。『アンチ・オイディプス』を読解し、そこで反-生産と並んで提示されている副-生産の意味内容について論じた。 第二に、西洋思想史における「事例」(case)概念および「事例研究」(case study)の歴史的形成過程を調査した。具体的には、(1)決疑法ないし決疑論(casuistica, casuistry)、(2)カント哲学における「実例論」(Beispiel)および「範例的必然性」(exemplarische; Notwendigkeit)、(3)ライプニッツの事例論、(4)ホワイトヘッドの「出来事」論、(5)ドゥルーズの出来事論及び初期ストア派を概観しているブレイエの研究などが主たる研究対象となった。事例概念史の調査は概説的な記述にとどまっているのが実状である。今後さらに念密な概念連関の分析やテクスト読解が必要である。 とはいえ、以上の成果は、「事例研究の思想史・歴史研究」という形で提示可能なものであり、哲学研究においては、これまで注目されてこなかった「事例」概念の形成史として新奇性があり、教育学研究としては、「事例研究」の歴史的背景や存立要件を明らかにするという意味で基礎研究として重要な性質を持つと考える。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)