2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J08080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本橋 裕美 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 斎宮 / 皇女 / 女王 / 王権 / 文学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は本研究課題の最終年度にあたるため、課題の総括としての発表を行った。女性と王権をめぐるテーマである三輪山説話に関する発表「待つ女のヴァリアント―三輪山説話をめぐるクィア的展開―」(古代文学会・夏期セミナー)、源氏物語と枕草子を皇族出身のキサキである藤壺を通じて繋ぐ発表「『源氏物語』朝顔巻における死者としての藤壺像―中宮定子をめぐる『枕草子』の語りを手がかりに―」(中古文学会・秋季大会)、本研究課題の方法である歴史学と文学の接続を王権の観点から提示した発表「王権論の現在、再び―国文学の視点から―」(荒木敏夫教授退職記念シンポジウム)である。 皇女や女王が王権と接点を持つのは、斎宮・斎院のような祭祀にかかわる役職に就く際と、婚姻を通じて皇統に復帰する際である。斎宮の問題については著書『斎宮の文学史』(翰林書房)にこれまでの研究成果を含めてまとめ、所属研究室での発表などを通じてさらに考察を進めるに至った。課題であった中世王朝物語についても複数の作品に亘って論じることができ、文学史としての構想をかたちにすることができた。斎院の問題については、今後の課題とする。婚姻を通じた皇統への復帰の在り方については、『源氏物語』を中心に論考を重ねた。今後、論文化を通して成果を広く問う予定である。 皇女と王権に関する研究動向は、皇女については史学、文学ともに研究が盛んであるが、女王についてはまだ途上である。本研究課題でも、女王については史料が少なく、十分に検討できなかった面があるが、史料の少ないところにこそ文学による検討が必要であることも明らかになった。今後の展開として、本研究課題において研究を進めた祭祀の問題を女王に特化して研究していくことで、本研究課題の更なる深化が可能であるといえる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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