2014 Fiscal Year Annual Research Report
光波のヘリシティーを用いた物質のカイラリティー制御
Project/Area Number |
14J08107
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高橋 冬都 千葉大学, 融合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | 光渦 / レーザー加工 / シリコン |
Outline of Annual Research Achievements |
カイラリティーとは、ある構造体(例えば右手系)とその鏡像(例えば左手系の構造異性体)が重ね合わせることができない性質である。カイラル構造体の右手系と左手系の選択的な制御は物質科学において重要な意味を持つ。例えば、右手系のミクロな構造体をマクロなデバイスにすると特定波長で右回りの円偏光のみを選択的に透過(あるいは反射)するような偏光特異性を示すことが知られている。 ヘリシティーを有する光波として光渦が存在する。近年、光波のヘリシティーと金属(タンタル)が相互作用することで、ナノスケールのカイラルな構造体が創成できることが発見された(Nano Lett. 12, 3645 (2012).)。この現象は、光のみで物質の構造的なカイラリティーを制御できることから光科学をはじめ物質科学において注目を集めている(以下、物質のカイラリティー制御と呼ぶ)。 本研究は、光渦を用いて形成される新奇螺旋構造体(カイラル金属ナノニードル)の形成メカニズムを解明することを目的としている。 平成26年度は、多方面からカイラルニードル形成のメカニズムを解明するために、多様な物質に光渦の照射を行った。具体的には、貴金属である銅、エレクトロニクス分野だけでなく太陽電池などグリーンエネルギーの標準材料である単結晶シリコンをターゲットとし、カイラル構造体の創成に成功した。また、カイラル構造に着目し、対数螺旋関数(2次元調和減衰振動)でフィッティングを行えることを見出した。さらにシリコンにおいて、結晶構造に注目し、形成された構造体が単結晶化していることを発見した。現在学術論文に申請中である。次年度は、高速度カメラを用いた、カイラル構造体形成のダイナミクスの直接観察を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
貴金属である銅、エレクトロニクス分野だけでなく太陽電池などグリーンエネルギーの標準材料である単結晶シリコンをターゲットとし、カイラル構造体の創成に成功した。また、カイラル構造に着目し、対数螺旋関数(2次元調和減衰振動)でフィッティングを行えることを見出した。さらにシリコンにおいて、結晶構造に注目し、形成された構造体が単結晶化していることを発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
カイラル構造体形成の時間ダイナミクスを解明するため、フェムト秒からナノ秒まで発光時間(時間スケール)が制御されたレーザーを用いてカイラル構造体形成を行う。走査型電子顕微鏡を用いて各パルスにおける構造解析(高さ、巻き数、先端半径)を行うことにより、光波の角運動量が物質に転写されるまでに要する時間スケールを判明させる。さらに、高速度カメラを用いて物質の動的変化、プラズマの指向性を観測する。これらの実験を行い、各過程における時間ダイナミクスを多角的に検証することで、カイラル構造体形成のメカニズムを構築する。
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Research Products
(6 results)