2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J08173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩嵜 美希 千葉大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | テルペン合成酵素の機能改良 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)燃料前駆体セスキテルペン合成酵素の進化工学 ビサボランは既存のディーゼルと類似の物性を持つ。その前駆体であるビサボレンの大量微生物生産系の構築をめざして研究が進められている。しかし、ビサボレン合成酵素(BIS)は、テルペン合成酵素の中でも特に低活性かつ低安定性である。ビサボレン生産性の向上には、BISの活性向上が必須である。本年度は、この酵素の活性や安定性を向上させる進化工学を2世代おこなった。その結果、野生型に比べて安定性の向上が示唆される変異体を複数取得することができた。この研究は、修士2年の学生と共におこなっており、年度末の農芸化学会において口頭発表 (共著) をおこなった。 (2)有価モノテルペン合成酵素の進化工学 ピネンは、香料や燃料前駆体として産業価値の高いモノテルペンである。モノテルペンはGPPを基質として合成されるが,この基質は大腸菌ではFPPに比べて細胞に蓄積しづらい化合物である。よって、大腸菌内で効率よく働くモノテルペン合成酵素を開発するには、低い基質濃度下で効率よく働く酵素への改変が重要であると予想される。そこで、モノテルペン合成酵素の活性評価用に、スクリーニングコンストラクトを調製し、これを用いてPSの進化工学をおこなった。細胞内活性の高いピネン合成酵素変異体を取得することができた。この変異体は、既存のプレニル二リン酸合成経路強化株とともに発現することで、野生型よりも2倍高い120 mg/Lのピネン生産性を示した。この生産量は、最近の改良型モノテルペンの生産系の標準的なモノテルペン生産量と同等である。改良型のピネン合成酵素は、すでに開発されているプレニル二リン酸供給経路を強化した大腸菌株の中で発現することによって、野生型のピネン酵素を発現する株よりも高い生物生産効率を示した。この成果を年度末の農芸化学会において口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、1年目はセスキテルペン合成酵素の進化工学を4-8世代に渡っておこなう予定であった。本年は、2世代の進化工学を進めた結果、可溶性や熱耐性の向上した変異体が得られた。また、これと並行してモノテルペン合成酵素の進化工学を1世代おこなった。得られた変異体は、微生物細胞におけるピネン合成活性が向上していた。今のところ、機能が向上した変異体を順調に得られている。異なる二種類の酵素から変異体を得られたことにより、これらの解析を進めることで、テルペン合成酵素の機能進化に関する知見が得られることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた変異体の物理的性質を調べることによって、酵素機能が細胞内でどのように向上したか、スクリーニングによってどのような淘汰が起こりやすいかを示す指標が得られると期待される。本研究室には、テルペン合成酵素の精製およびその機能解析系がなかった。現在、その解析系を立ち上げ、テルペン合成酵素の精製、熱安定性評価、および酵素活性の評価をおこなっている。
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Research Products
(6 results)