2014 Fiscal Year Annual Research Report
白色腐朽菌およびルーメン微生物による放射性汚染バイオマスからのセシウム溶出・除去
Project/Area Number |
14J08197
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬場 保徳 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 汚染バイオマス / 除染 / 前処理 / 植物細胞壁 / 加水分解 / ルーメン液 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、放射性セシウムで汚染されたバイオマスを、前処理(白色腐朽菌による腐朽処理もしくは温和な熱化学処理)したのち、と畜場廃棄物のウシルーメン液で植物細胞壁を可溶化することで、セシウムを液体中に溶出させ、除染剤により吸着・除去する技術の開発を目指すものである。平成26年度前半は、外部からの汚染バイオマスの入手手続きに時間がかかったため、研究計画後半部分の「ウシルーメン液による植物細胞壁可溶化において主要な役割を果たす微生物の特定」を汚染されていないバイオマスを使用することで、前倒しして行った。16SrRNAメタゲノム解析(次世代シーケンサーMiseq(イルミナ社)を使用)に取り組み、得られた結果に対して、植物細胞壁分解に寄与するエンド型セルラーゼおよびヘミセルラーゼ生産微生物を検索したところ、それぞれの酵素活性の増加とともに優占する種を、前者で2種、後者で3種見いだした。今後は、優占した微生物に適した培養条件を検討し、ルーメン液全体の植物細胞壁分解能の向上・安定化を目指す。
汚染バイオマスの取り扱いが可能になった平成26年度後半からは、4県(岩手県、宮城県、福島県、栃木県)の放射性セシウムに汚染された稲ワラおよび牧草について、水や酸・アルカリ溶液へのセシウム溶出特性を調べた。その結果、2011年3月にフォールアウトの影響を直接受けたものは特に難溶出性(溶出率1%程度)であることが明らかとなった。難溶出性であった2011年度の稲ワラに対して、熱化学的前処理を行ったところ、セシウムの20.6%の溶出に成功した。この後に行うウシルーメン液による植物細胞壁可溶化処理で更なる溶出が期待される。
本年度は、廃棄物資源循環学会 春の研究発表会にて、最優秀ポスター賞を受賞し評価を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3カ年の研究計画のうち、初年度で3分の1程度の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
放射性セシウムの溶出が特に難しい2011年度の稲ワラを材料とし、以下に取り組む。 (1)本年度見いだしたセシウム溶出効果の高い触媒で熱化学的前処理を行ったのちに、ウシルーメン液による可溶化処理を行う。 (2)ルーメン液中に溶出されたセシウムを除染剤で除去し、放射性汚染廃棄物の減溶化率を評価する。 (3)ルーメン液による可溶化処理において、主要な役割を担う微生物候補の生理的性質を明らかにし、ルーメン液全体の植物細胞壁分解能の向上を目指す。
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Research Products
(11 results)