2014 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアの現代作家ヴィクトル・ペレーヴィンと60年代以降のソ連文化
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14J08200
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
笹山 啓 東京外国語大学, 総合国際学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | ペレーヴィン / マムレーエフ / 雪どけ / ソ連の地下文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度はまず5月9,10日にブルガリアのソフィア大学にて開催された国際学会「スラヴ系言語・文学・文化における動きと空間」において「ペレーヴィンとソ連時代の神秘主義」と題した発表を行った。発表内容はロシアの現代作家ヴィクトル・ペレーヴィンとソ連の神秘主義的な傾向を持つ地下文化の関係を扱うもので、現在発表内容をもとに執筆した論文が掲載予定の論集が編集中とのことである。 9月にはモスクワで研究調査を行った。モスクワ国立図書館別館での作業を中心に資料収集に努めた。 12月には東京外国語大学ロシア語研究室出版の『スラヴ文化研究』第12号に論文「神秘と個人主義―ペレーヴィンと1960年代以降のソ連神秘主義」が掲載された。これはソ連においてインド哲学を基礎においた哲学論・小説を著し、神秘主義的傾向を持つ地下文化に大きな影響を及ぼしていた作家マムレーエフの個人主義的思想がペレーヴィンにどういった影響を及ぼしたかを論じたものである。 2月には東京外国語大学出版会より、報告者の論考「『ソ連崩壊』から見る村上春樹ブーム」が掲載された『世界文学としての村上春樹』が出版された。日本文学は報告者の専門外であるが、現代ロシアにおける村上春樹受容についての小論を依頼され執筆の運びとなった。 また3月には、2013年度にモスクワで開催された国際学会「文化の変容、パースペクティヴの変容」の論集『文化の変容と新しいパースペクティヴ』が出版され、報告者の論文「ペレーヴィンと自殺―短編『盆の客』における三島由紀夫作品の影響―」が掲載された。この学会は日本学術振興会「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」による東京外国語大学研究事業の一環として開催されたものであり、自身の研究課題と日本文化の関係に着目した報告が求められたため、ペレーヴィン作品における三島由紀夫作品の影響を論じたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね年度初めの計画に沿った形で調査研究を遂行し、その成果をもとに数本の論文を執筆・発表できた。
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Strategy for Future Research Activity |
7月開催の日本スラヴ人文学会大会、8月開催のICCEES(中欧・東欧研究国際協議会)世界大会、11月開催の日本ロシア文学会全国大会などでの研究発表を行う予定。またそれらの発表内容をもとに論文を執筆し、日本ロシア文学会学会誌等への掲載を目指す。
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Research Products
(4 results)