2014 Fiscal Year Annual Research Report
局所位相特徴を用いた類似度評価とバイオメトリクス認証への応用に関する研究
Project/Area Number |
14J08210
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青山 章一郎 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | バイオメトリクス認証 / 類似度評価 / 局所位相特徴 / 位相限定相関法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1. 局所位相特徴に基づく類似度評価技術の高精度化の検討,2. 掌紋認証・指関節紋認証システムの開発に関する検討を行った.本研究では,昨年度までに,階層画像と局所位相特徴に基づく画像マッチングを用いた照合が有効であるという結果が得られている.本年度は,まず,掌紋認証を中心として,基準点の配置方法,および位置合わせ結果からの類似度評価手法について検討を行った.掌紋の公開画像データベースを用いた性能評価実験を通して,前者により認証性能を低下することなく計算量の削減が可能であること,および後者による類似度評価と従来の相関値に基づく類似度評価とを相補的に利用することで認証性能が向上することを実証した.また,掌紋,指関節紋,顔,虹彩の公開画像データベースを用いた実験を行い,位相の量子化と認証性能のトレードオフについて検討を行った.そして,提案手法を応用し,実環境において利便性・信頼性に優れた掌紋認証システム,および指関節紋認証システムを開発するための検討を行った.掌紋認証について,疎な能動型3次元計測に基づく手のひらの傾き補正手法,および指を閉じた状態で撮影された手のひら画像からの関心領域抽出手法を提案した.指関節紋認証について,ドアレバーを用いた指関節紋認証システムを対象として,動画像を用いた関心領域抽出手法を提案した.それぞれの生体特徴について,実用に近い環境下で評価用のデータベースを作成し,関心領域抽出,および認証について性能評価実験を行った.提案手法により安定して関心領域抽出が行えるとともに,局所位相特徴を用いた認証アルゴリズムが,実用的な環境下においても,掌紋,および指関節紋の従来手法より高い認証性能を有することを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,研究実施計画で記した局所位相特徴に基づく類似度評価のための基本技術の確立には至らなかった.新たに考案した類似度評価に関するいくつかの高性能化手法についてその有効性を確認しており,現在,従来技術と組み合わせた高性能化について検討段階である.一方で,掌紋・指関節紋を中心として顔や虹彩について本手法が有効であることを確認しているほか,それぞれの生体特徴に対して,位相の量子化と認証性能とのトレードオフに関する大規模実験を通した基礎的な検討を行っており,本研究は,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,まず,局所位相特徴に基づく高精度な類似度評価技術,および,それに基づくバイオメトリクス認証アルゴリズムを確立する.今年度検討した諸手法について整理を行い,これ以外にも,位相情報に基づく画像マッチングの高精度化手法の中でバイオメトリクス認証に適したものを選択して組み合わせることで,認証性能・汎用性に優れたアルゴリズムを完成させる.確立したアルゴリズムについて,複数の生体特徴の公開画像データベースを用いた性能評価を行い,各生体特徴に対して提案されている従来手法と比較する.そして,確立したアルゴリズムをもとに,パターン認識などの技術を利用し,複数の生体特徴で算出した類似度を融合して認証を行うマルチモーダル認証システムの開発を行う予定である.
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Research Products
(10 results)