2014 Fiscal Year Annual Research Report
リソソームによる新規RNA/DNA分解システムとその意義に関する研究
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14J08223
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
藤原 悠紀 早稲田大学, 先進理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | RNautophagy / DNautophagy / RDA / リソソーム / 核酸分解 / LAMP2C / arginine-rich motif |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに採用者らはリソソームがリソソーム膜タンパク質LAMP2Cを受容体の少なくともひとつとしてRNAやDNAをATP依存的に直接内部に取り込み、分解するという新たな核酸分解システムを発見し、それぞれRNautophagy及びDNautophagyと名づけ報告してきた。本研究課題においては、RNautophagy/DNautophagy(以下RDAと略記)の詳細なメカニズム及び生理的意義の解明を目的として研究を実施している。 RDAのメカニズムについてはまず、LAMP2Cが細胞質側配列にarginine-rich motif (ARM)と呼ばれる古典的なRNA結合モチーフを有し、このモチーフ内のアルギニン残基がRNAやDNAとの結合に必要であることを見出した。さらにLAMP2以外の複数のLAMPファミリータンパク質も細胞質側に複数のアルギニン残基をもち、そのうちLAMP1やCD68/LAMP4などの配列が核酸と結合することもわかった。これはRDAにおいてLAMP2C以外の核酸受容体が存在する可能性を示唆するものである。採用者は筆頭著者としてこれらの結果を論文にまとめ、論文は学術雑誌BBRCへの掲載が受理されている。また、核酸受容体以外のRDA関連遺伝子の探索や、RDAにおける基質選択性の有無などについても、現在、研究室のメンバーらと共同で研究を進めている。 RDAの生理的意義については、ある物質を細胞に導入した場合において、LAMP2C及び現在見出しつつあるもうひとつのRDA関連遺伝子(論文未発表)の発現量が協調的に上昇することを見出した。さらに採用者はこの物質を細胞内で認識することが知られている遺伝子のうち少なくともひとつが、このRDA関連遺伝子の発現上昇の上流となっていることも見出している。これらは細胞が外部からの特定の刺激に応じて、上流遺伝子によるRDA関連遺伝子の発現調節を介してRDA活性を調節していることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
まずRDAのメカニズムに関する研究についてはLAMP2Cの核酸結合モチーフの決定に成功した。さらにこの結果から派生してRDAにおいて核酸受容体となりうるLAMP2C以外の候補遺伝子が見出されるなど、当初は期待していなかった方向にも研究が進展した。これらの結果は既に海外の学術誌への掲載が受理されており、これは初年度の研究成果発表の目標を学会発表としていた当初の計画を上回るものといえよう。また核酸受容体以外のRDA関連遺伝子の探索や、RDAにおける基質選択性の有無など、RDAのメカニズムに関する他の研究についても、大きく進展している。 さらにRDAの生理的意義に関わる研究についても、前述のように当初想定していなかった成果が得られ、こちらも順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のRDAの生理的意義に関わる研究の推進を目標の中心に据えて研究を進める。 RDA関連遺伝子の発現上昇をもたらす刺激や物質の種類、また今回わかったRDA関連遺伝子発現調節の上流となっている遺伝子の種類などから、具体的に生理的条件においてはこの発現上昇がどのような状況で起こりうるのかを推測し、実際そのような条件下においてRDAが細胞にとってどのような役割を担うのかを検討する。また、必要であれば共同研究等も積極的に行う。
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Research Products
(2 results)