2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J08255
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂田 隼人 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | DNA核内構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度より前頭葉てんかんの治療を行っており、昨年度は大学に行くことができないほど病状が悪くなっておりました。てんかん特有の意識消失や、強烈な頭痛、虚脱、傾眠などの副作用に悩まされ、研究に集中して取り組むことがとても難しい状況でした。治療のために脳神経外科で薬の種類や量の調整を行いながら、精神科に通って生活習慣の改善などを行い、少しでも早く薬に身体を慣らすように努力していました。まだ通院中ではありますが、ようやく体に合った薬が見つかり、現在通常通り研究を進められています。 3次元構造の推定方法としては、現在、決定論的に高速に計算する方法(Multi-dimensional Scaling)が提案されていますが、確率的にどの構造がどの程度の確率で存在できるのか、そしてその構造がどの程度安定なのかを計算するアルゴリズムの設計と実装はまだ重要な問題となっています。DNAの核内における接触情報を、DNAの各々の位置が接触する確率に変換し、そこからDNAが取る形の確率分布を求めるアルゴリズムを開発していますが、現状ではあまりの計算量の大きさに難航しています。 そこで、半正定値計画問題など、より小さい計算量の問題に落としこむ必要があると考えています。計算量のためにモデルの精密さを犠牲にし過ぎてしまうことがないように、Free Energy Principleを用いてモデルの正確さを定量化しつつ、DNA核内構造の流動性を定量的かつ現実的に計算する方法を模索しています。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
まず、DNA核内構造の決定を行うため、Hi-Cという実験法や核内の性質を反映したモデル化の理論構築を行いました。これは、任意のDNAの接触点の距離が正規分布に従うことを仮定し、確率を用いてDNA核内構造のダイナミクスを捉えることができるという今までにないものです。そして、これを実現するためのプログラムを実装しました。また、この手法の検証及びDNA核内構造の類似性を測定するための理論とその実装も行いました。 しかし、去年の年次計画では、これらの精度検証と実データへの適用を行う予定でしたが、これが未完となっております。 現状、精度の検証を行うためのシンセティックデータの生成と精度を評価するプログラムの実装を行っており、遅れを取り戻せると考えています。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度と同様に、DNA核内構造の確率をふまえた推定アルゴリズムの開発を行っていきます。現在の方法だけでは、確率の要素を取り込めていても計算量があまりにも大きすぎるため、巨大なDNAを扱うには不十分です。そこで、半正定値問題などの最適化問題への変換を中心に様々な最適化法に基づいた理論を作り、DNA核内構造のゆらぎを捉えることができる方法論の構築を目指します。
|