2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J08452
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平川 有宇樹 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチドシグナル / 植物発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞間シグナル分子のモデルとして、ペプチドホルモン前駆体をコードするCLE遺伝子の解析を行った。ゼニゴケには2つのCLE遺伝子が存在するが、どちらの遺伝子の過剰発現株においても植物体の成長に対して阻害的な効果が見られた。詳細な解析を行うため、分裂組織の頂端細胞とその周辺をマークするMpYUC2プロモーターGUSを用いた結果、MpCLE2過剰発現により、MpYUC2陽性の細胞が増加することが分かった。 このMpCLE2の効果は、MpCLV1 KO変異体背景においては見られなかった。このことから、MpCLE2-MpCLV1がリガンド-受容体として働くことが支持された。KO変異体の解析により、MpCLE2-MpCLV1経路は、ゼニゴケ葉状体の分枝を促進するよう働いていることが示唆された。遺伝子発現領域の観察からは、MpCLE2は分裂組織の外部で産生され、分裂組織の細胞においてMpCLV1を介して受容されることが示唆された。 したがって、ゼニゴケ葉状体の分枝において、分裂組織外の分化した細胞群から分裂組織内の未分化な細胞群への促進的な情報伝達経路が存在するというモデルが考えられる。分枝は植物発生における基本的なメカニズムの一つである。MpCLE2はゼニゴケ綱以外にも苔類において広く保存されており、苔類の分枝において広く重要な働きを持つのかもしれない。さらに陸上植物におけるCLEペプチドの機能という点においても、発生進化学上興味深い結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画より早くゼニゴケにおけるCLEペプチドシグナルの生体内機能の概要がほぼ明らかになった。この過程で、CLEペプチド分子を同定するために利用可能な生物材料等が得られ、今後の研究に大きな進展が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
CLEペプチドの生体内機能についての解析を完了させる。CLEペプチドを生体内から単離、同定するとともに、CLEペプチドの生物活性を調べる。ペプチドの化学合成時に人工アミノ酸を導入し、構造活性相関を解析することによって、ペプチド修飾の可能性を探る。
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Research Products
(5 results)