2014 Fiscal Year Annual Research Report
人工光捕集アンテナを基盤とした光機能性超分子ナノデバイスの創製
Project/Area Number |
14J08467
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
庄司 淳 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 光合成 / 光捕集アンテナ / クロロゾーム / クロロフィル / 自己集積体 / 超分子 / エネルギー移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑色光合成細菌の光合成初期過程を模倣し、人工的な光捕集・伝達に優れた超分子ナノ構造体を構築し、天然の光捕集アンテナの機能解明や太陽光を利用したデバイス開発を行うことを本研究の目的としている。平成26年度は、クロロフィル誘導体を用い、光捕集アンテナの機能解明として、(1)クロロゾーム型ロッド状自己集積体(SA)の光機能性の評価と(2)サイズ制御、太陽光を利用したデバイス開発として、(3)他色素との複合化を行った。以下にその詳細を記す。 1.ロッド状SAの光機能性の評価:緑色光合成細菌に含まれるロッド状SAの励起エネルギー移動過程は、分光測定やモデル計算が行われただけで、顕微分光された例はない。ロッド状SAはほとんど濃度消光せず、アクセプター分子へエネルギー移動することに優れているが、それ自体の蛍光強度は小さいうえに、酸素が存在する環境下で光照射すると不安定である。ロッド状SAを安定化させ、蛍光強度を増大させるための条件を検討した。真空・低温下で蛍光測定を行うことで、ロッド状SAの安定性及び蛍光強度が向上し、アモルファスなSAの蛍光像が観察可能であった。 2.サイズ制御:これまでのロッド状SAの調製方法では、長さが不均一な構造体しか構築できていなかった。そこで、均一な長さのロッド状SAを形成させるために、SAの成長を阻害しうる分子の設計・合成を行い、溶液中での分光測定で、その評価を行った。合成したもののうち、亜鉛クロロフィル誘導体がロッド状SAの成長阻害に有効な分子であることを見出した。 3.他色素との複合化:ロッド状SAと他の色素分子を組み合わせることで、光機能に優れた超分子構造体の構築を目指した。亜鉛バクテリオクロロフィル-a誘導体がロッド状SAと共会合体を形成することを見出し、固体状態でのエネルギー移動系を新たに構築することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロッド状SAの顕微分光においては、今後さらなる条件検討が必要であるが、着実に研究が進行している。ロッド状SAのサイズ制御では、その成長を止めうる分子を系統的に合成し、サイズ制御に有効な分子を見出している。また、二年度目に行う予定であった他色素の複合化に関して、ロッド状SAと共会合する色素分子を見出し、固体状態でのエネルギー移動系を新たに構築することにも成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.ロッド状SAの顕微分光を行うための条件検討ならびに蛍光強度が大きいロッド状SAの調製を行う。 2.亜鉛クロロフィル誘導体がロッド状SAの成長を阻害することがわかったので、これを用いて長さが均等なロッド状SAを構築するための混合方法を検討する。 3.初年度に構築したエネルギー移動系に用いた色素分子を基本とした光機能性超分子ナノデバイスの構築を行い、そのデバイスの評価を行う。
|
Research Products
(12 results)