2014 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖集積バイオインターフェースによる幹細胞分化マテリアルセラピー
Project/Area Number |
14J08533
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中田 富美 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 糖鎖 / 細胞刺激 / キトヘキサオース / セロヘキサオース / セロビオース / 自己集積膜 / バイオインターフェース / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】生理活性糖キトヘキサオース(βGlcNAc6)をnmオーダーで密度制御可能な糖鎖ラフトを多数有した新規糖鎖集積バイオインターフェースを創出し、糖鎖基板刺激による神経幹細胞マテリアルセラピーに挑戦する。幹細胞を用いた再生医療の実現に向けて幹細胞の生育・分化に必要な他生物由来成分サイトカイン・血清・他細胞無添加条件下における新規再生医療技術の開発が期待される。 【1年目の研究進捗状況】 βGlcNAc6・セロヘキサオース(βGlc6)、βGlcNAc6・βGlc2(セロビオース)の各2種糖鎖における基板検討を行った。βGlcNAc6・βGlc2ハイブリッドSAMにおいてGlcNAcの非還元末端を認識するWGAレクチンアッセイを行った結果、βGlcNAc6・βGlc6ではβGlcNAc6の配合率が0%から100%に至るまでWGAによる基板認識を示す蛍光が徐々に強く表れたが、βGlcNAc6・βGlc2ハイブリッドSAMではβGlcNAc6の配合率が50%を超えないとWGAの蛍光は発現しなかった。このことからβGlc6とβGlc2ではβGlcNAc6とのSAM調製時に異なる働きを持ったスペーサーとして機能することが示唆された。 マウス由来神経幹細胞を用いて、幹細胞の分化応答を検討した。βGlcNAc6-SAM上で培養した際、培養3日目には神経への分化にスイッチが入ったことを示す神経細胞様の突起伸長が確認された。βGlcNAc6とβGlc6の2種糖鎖ハイブリッドSAMs上でマウス由来神経幹細胞を培養したところ、糖鎖密度の違いで分化誘導に変化が見られた。市販の細胞培養基板TCPSでは細胞増殖のみが観察される培養条件において、βGlcNAc6の密度が高くなるにつれて神経幹細胞塊ニューロスフィアの約40%(200 μm以上のニューロスフィアではほぼ100%)で神経細胞様の突起伸長が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度前半は国内学会・国際学会における発表に力を尽くしていた。しかし、目標を達成すべく研究に勢力を出すべき年度後半に妊娠が発覚、体調が思うようにコントロールできず、研究の進捗が滞った。結果として、1年目の目標は達成できていない。しかし、2年目以降に行う予定であったマウス神経幹細胞を用いた研究を始めることができたので、次年度以降はスムーズに研究に取り組めると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
①バイオインターフェース基板の検討 次年度はβGlcNAc6とβGlc2のハイブリッドSAMの界面ナノ構造の解明を行。さらに、βGlc6・βGlc2の各スペーサー分子を上手く利用した新規ハイブリッド3種糖鎖SAMの調製・構造解析を速やかに行う予定である。
②マウス由来神経幹細胞の検討 リアルタイムPCRや免疫染色を用いた遺伝子発現挙動解析を行う。界面ナノ構造と細胞の分化状態の相関性についての検討を行う。
|
Research Products
(7 results)