2016 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖集積バイオインターフェースによる幹細胞分化マテリアルセラピー
Project/Area Number |
14J08533
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中田 富美 九州大学, 生物資源環境科学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2019-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 細胞刺激 / キトヘキサオース / セロヘキサオース / セロビオース / 自己集積膜 / バイオインターフェース / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】生理活性糖キトヘキサオース(βGlcNAc6)をnmオーダーで密度制御可能な糖鎖ラフトを多数有した新規糖鎖集積バイオインターフェースを創出し、糖鎖基板刺激による神経幹細胞マテリアルセラピーに挑戦する。幹細胞を用いた再生医療の実現に向けて幹細胞の生育・分化に必要な他生物由来成分サイトカイン・血清・他細胞無添加条件下における新規再生医療技術の開発が期待される。 【2年目の研究進捗状況】現在、進捗は芳しくない。また、学会発表やアウトリーチ等も行えていない状況である。昨年の10月から博士2年生として復帰しているが、長鎖糖鎖からセロヘキサオース(βGlc6)およびβGlcNAc6を調製する材料作りに数ヶ月費やしている。また、産休前に行ってきた実験の再現性が取れず、執筆中の論文も手が止まっている状況である。1年目の目標である3種糖鎖基板の調製にも着手できていない。材料は少しずつ調製できているので、あと半年を使って論文投稿及び1年目の3種糖鎖基板調製・基板解析方法の確立、2年目の目標である神経幹細胞を用いた分化誘導反応を引き起こす基板の調製を達成したいと考えている。 ①バイオインターフェース基板の検討 本年度後期より研究活動を再開したが、育休産休以前までの実験すら再現性を取れない状況である。糖鎖の材料作りも遅れており、1年目目標の3種{βGlcNAc6・βGlc6・セロビオース(βGlc2)}糖鎖ハイブリッド自己集積膜(SAM)の調製・表面解析までも至らなかった。 ②マウス由来神経幹細胞の検討 2一面金コートした基板上に2種の糖鎖を固定した糖鎖自己集積基板上にてマウス神経幹細胞を培養した。基板の状態に問題がみられ、産休以前に得られていたような配合する糖鎖比率の違いで神経幹細胞の分化に変化が見られるという結果は得られなかった。しかし、基板上の金コートが剥がれた部位で神経幹細胞の分化に差が見られるという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度の後期から復帰したため、本進捗状況は半年分の成果である。また、βGlcNAc6・βGlc6の材料作りを一から行っており、材料作りに数ヶ月要していた。また、材料が少しずつ得られても、1.5年のブランク後、産休以前に行っていた実験の再現性が取れず、同じ試験を何度も行い、新しい実験を始めることができなかった。βGlc2は前々から準備しており、神経幹細胞や遺伝子解析に必要な試薬等もすでに準備できているため、いち早く産休以前のデータの再現性を取り、目標に近づけるよう実験を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
①バイオインターフェース基板の検討 引き続き、2種糖鎖を用いたハイブリッドSAMを用いた研究の検討及び論文化と、βGlcNAc6・βGlc6・βGlc2のハイブリッドSAMの界面ナノ構造の解明と各スペーサー分子を上手く利用した新規ハイブリッド3種糖鎖SAMの調製を速やかに行う予定である。 ②マウス由来神経幹細胞の検討 2種糖鎖ハイブリッドSAM上にてマウス神経幹細胞を培養したところ、基板上の金コートが剥がれた部位で神経幹細胞の分化に差が見られるという結果を得た。本研究室において、スリット基板を用いてライン状にデザインした金コート基板上に糖鎖を修飾後、基板上で培養した筋芽細胞の分化・成長の方向性を一部制御するという成果を挙げていた。これまでの研究と今回の実験結果を踏まえ、神経幹細胞培養時の分化状況の差も金コートデザインによって効果的に引き起こしうると考えたため、今後はハイブリッド糖鎖基板及びライン状デザイン金コート基板を用いて神経幹細胞の分化誘導について検討していく予定である。具体的にはリアルタイムPCRや免疫染色を用いた遺伝子発現挙動解析を行う。また、界面ナノ構造と細胞の分化状態の相関性についても検討を進めていきたい。
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