2015 Fiscal Year Annual Research Report
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14J08602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 嘉衣 東京大学, 数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 確率偏微分方程式 / 反応拡散方程式 / アレン・カーン方程式 / モスコ収束 / ディリクレ形式 / 反射壁ブラウン運動 / 鋭敏な界面極限 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、確率反応拡散方程式の鋭敏な界面極限についての研究を行っている。研究対象である確率アレン・カーン方程式は界面の挙動に深く関連する方程式である。またこの方程式は十分小さい正のεでパラメータ付けされており、このパラメーターは界面の幅を特徴付ける。我々の興味は、このεが限りなく小さくなり、界面の形状が鋭敏になった際の極限での挙動、すなわち鋭敏な界面極限である。今年度は特に空間1次元かつ有界閉区間上の境界でディリクレ境界条件を課された確率アレン・カーン方程式に対し、鋭敏な界面極限について研究を行った。この場合は、ディリクレ境界条件のため極限における界面の運動は反射壁を持つブラウン運動になることが舟木による先行研究から予想される。しかし、境界付近における界面の挙動の解析は、その特異性から容易ではない。我々はこの解を関数空間に値を取るようなマルコフ過程と見なし、この解に対応するディリクレ形式の収束を示した。この収束はモスコ収束と呼ばれる。モスコ収束とマルコフ半群の強収束は桑江と塩谷によって示されている。これらの議論から我々は極限における界面の挙動を境界に反射壁を持つブラウン運動の定数倍として特定した。この定数は舟木による先行研究におけるものと同じ定数であり、以上の結果を現在論文に取りまとめている。今後は、空間変数が多次元の場合や、進行波解になる場合などを考察することを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標はディリクレ境界条件を持つ場合の解析を行うことであったため、一通り結果が出揃い、概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ひとまずは上記の結果を論文にまとめ、投稿することが最優先である。また今年度に投稿した昨年度の論文の結果に応じて対応をする。次の研究については空間変数が多次元の場合や、進行波解になる場合など、考察すべき問題が多数残されているので、一つずつ片付けていきたい。
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Research Products
(1 results)