2014 Fiscal Year Annual Research Report
居住経験がつくる地域像に関する研究－過疎・高齢化地域の流動性を視点に－
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14J08650
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| Research Institution | Kanagawa University |
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Principal Investigator |
渡部 鮎美 神奈川大学, 歴史民俗資料研究科, 特別研究員(PD)
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2014-04-25 – 2017-03-31
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| Keywords | 居住 / 過疎高齢化 / 出稼ぎ / 移住 / 地域資源 / 観光 / 生き方 / 十日町市 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過疎・高齢化地域における居住経験（居住歴・住まい方・移住の経緯）を明らかにし、多様なアクターによってつくられる地域像を論じる。そして過疎・高齢化が進む一方で、観光開発や移住支援によって観光客や観光業者、移住者などの多様なアクターが関与し、変容する地域の現状に注目し、外部者の視点を包摂しつつ自律する過疎・高齢化地域での新しい生き方や地域への関わり方への提言を目指す。平成26年度は冬期移住者や他地域からの移住者を対象とした居住経験の調査を中心に研究を進めた。また、研究活動を進める中で、1) 過疎化が進むなかで地域に残った人々の居住経験と地域への定住を決めるにあたってもった居住イメージ、2) 多様なアクターによる地域資源の利用の２つが新たに解決すべき課題となった。
1)については『西郊民俗』掲載された論文で研究成果を明らかにした。2)については山菜資源と有害鳥獣に注目して研究を進めた。山菜資源については国立歴史民俗博物館の共同研究「保護地域制度が周辺地域の生業変化や資源化に及ぼす影響」で研究成果を発表した。発表では観光客による山菜資源の採取と棚田観光が地域住民にとって被害と感じられるようになった経緯を明らかにし、棚田の観光資源化と山菜の資源価値の高まりという近年、形成された価値観が住民の被害意識の高揚に関わってきたことを論じた。
有害鳥獣については、生態人類学会および総合研究大学院大学の共同研究での発表で明らかにした。また、資源管理の担い手である猟師の育成のためには資源管理の必要のない有害鳥獣であっても捕獲して技術を向上させる必要があるなど、自然科学的側面からは不要に思われる狩猟が猟師の多様性と維持に一役買っていることを指摘した。さらに有害鳥獣に関する資源的価値の変動も指摘し、有害鳥獣の問題については被害と利益の歴史的変遷も検討しつつ、考察していく必要性を論じた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査は予定どおり進行し、質的データと定量的なデータを確保している。26年度は日本民俗学会、村落研究学会での研究発表を計画していたが、これらに加えて生態人類学会、国立歴史民俗博物館、総合研究大学院大学の共同研究でも研究発表を行うことができ、当初の計画以上の進展がみられた。今後はこれらの発表内容をまとめ、論文化する予定である。
また、地域への成果還元として地域の施設での研究成果を活用した展示を開催する準備も行っており、当初の計画どおり順調に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
前年からの長期住み込み調査を継続する。多様なアクターによる地域創造への提言のため、他地域から移住してきた住民を受け入れた集落での聞き取り調査を行う。移住者を含めて地域が再編成されていく過程を探りつつ、これまで継続してきた自治会や日常生活での参与観察を続ける。移住者の受け入れに当たって、集落で、どのような議論がされ、移住者の受け入れによって旧来の住民がもつ地域像はどのように変わったのかなど、移住者の受け入れ過程を詳細に考察する。そして、多様なアクターのもつ居住経験からつくられる地域像とその形成過程を明らかにする。また、適宜、調査地域で研究を行う大学や研究機関などの調査チームとも情報交換を行い、理論構築に役立てる。
さらに、前年度からの調査結果を分析し、日本民俗学会、農村計画学会にて発表をし、論文として学会誌に投稿をする。そして、調査に協力をいただいている十日町市役所や地域の方々とも研究成果を共有するため、これまでの研究成果をまとめた展示を行う。
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Research Products
(7 results)
