2014 Fiscal Year Annual Research Report
グラフィティックカーボンナイトライドの配向制御に基づく新しい応用探索
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14J08678
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒添 弘樹 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナイトライド / 光触媒 / アクチュエーター / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が開発したカーボンナイトライドポリマー (以下GCN) の配向制御方法は非常に簡便であるが、大気下で重合を行なっているため、酸素などが材料の電子物性に影響を与えている可能性がある。そこで、不活性雰囲気下で配向を制御したGCNフィルムの作製が可能な装置を開発した。石英ガラス製の筒の両端に窒素ガスフローを可能にするパーツを作製した。このガラスの筒に出発原料を入れた試験管をいれ、蒸着重合を行うと任意の基板上に薄膜が得られた。XPSスペクトルにより薄膜の構造を確認したところ、GCNであることが確認された。また不純物のカーボンに由来するピークが減少していることから、窒素ガスフロー中で作製する方法を用いれば質の高いGCN薄膜が得られることがわかった。また薄膜の作成条件を検討していく上で、特定の条件下で作製された薄膜はアクチュエーター特性を示すことがわかった。光、熱、湿度といった様々な刺激に薄膜が高速に応答した。特に紫外光を照射したところ、わずか 50 ms 程度で薄膜がロールアップすることが確認された。慎重に調査を行っていったところ、これらのアクチュエーター特性はすべて水の吸脱着をドライビングフォースにしていることが判明した。特筆すべきは低湿度下において薄膜付近に水が存在していると目に見えて自発的運動を示すことである。安定した雰囲気下では自発的な運動は観測されなかったため、これは空間の局所的な水分量のゆらぎによって引き起こされていることがわかった。薄膜の運動は突然止まったり急に動き出したりとランダムなものである。これは空気中の対流や水分子の拡散が一定ではないためと考えられる。薄膜のすぐ近くに高精度の湿度計を置いても、湿度計に変化は見られず、いかに小さな環境のゆらぎを駆動力にしているかが分かる。このような小さな環境の変化を駆動力とするアクチュエーターの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、不活性雰囲気下で配向を制御したGCNフィルムの作製が可能な装置を開発した。開発した装置を用い、窒素ガスフロー中で作製すると質の高いGCN薄膜が得られることまでわかっている。 新たな物性の発見により予定外の実験も行っているが、従来の目標はすでに達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で開発した精密なフィルム合成の技術を用い、グラフェンなど基板との相互作用を最大限に利用し、水の完全分解に最適な薄膜の作成を目指す。またGCNフィルムの電子物性を制御する方法を開発し組み合わせることで、水の完全分解だけでなく、電子デバイスへの応用を試みる。さらに1年目で発見したアクチュエーター特性についてデータをまとめ、論文を投稿する予定である。
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Research Products
(4 results)