2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J08718
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷内 稜 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 不安定核研究 / 理研RIBF / 二重魔法数 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究テーマを実現する上での前段階として当該年度は Ni-78原子核の第一励起状態探索実験を行った。近年の不安定原子核の研究により安定な原子核に比べて陽子・中性子比が大きく異なる原子核における殻構造が変化し,安定核近傍では魔法性を持っていた原子核が不安定性を増すにつれ変形し魔法性を失ったり,新たな閉殻構造が生じたりすることが実験的に確認されるようになった。特に中性子過剰な“二重魔法数”を持つ原子核であるNi-78が魔法性を持ち続け球形構造を維持しているかは長年の謎であった。この謎の解明のため当該研究員は5月に理研RIBFにおいて陽子ノックアウト反応による励起準位探索実験を行った。本実験では脱励起γ線を計測するNaIシンチレーターアレイと,液体水素標的にTPCを組み合わせ,ノックアウト反応が起きた反応点を再構成することができるMINOSという二種の検出器を用いて測定を行った。 上記研究の他に,今後の実験に向けた実験装置の性能向上のため,二つの実験装置開発を行った。第一に不安定核ビームにおける電荷状態を区別し粒子識別性能を向上する為の全運動エネルギー検出器の開発である。本研究は比較的低エネルギーでの実験を行う際に生じる電荷状態を正しく識別する検出器開発である。テスト実験を4月と10月に行った。また第二の開発としてγ線エネルギー計測アレイの開発を行った。当該研究者が目指すような原子核の高励起状態から変形構造を知るという目標を達成するために,高いエネルギー分解能を持つ検出器の開発は必然である。これまで無機シンチレーターの中でも最もエネルギー分解能が高いとされるLaBr3を用いた開発を行ってきたが,潮解性という弱点のためシンチレーターを格納する容器を肉厚にせざるを得ず,装置全体の検出効率を稼ぎにくかった。このため,近年開発されたGAGGに注目し開発に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理研RIBFにおける核構造研究においても,フラグシップとなりうる実験を主導し,現在解析を行っている。この実験では最新の検出器を用いた実験であったが,成功裏に終えることができた。 現在当該研究者は2015年度前半中に実験データを論文に仕上げるべく急ピッチで解析を行っている段階であり,現在概ね順調に研究が進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年5月の実験のデータ解析を継続して行う。本年度中に論文に仕上げ発表,また国際学会での発表を行い,次の実験への足掛かりをつくる。本年度後期には不安定核の変形構造を追及する実験に主体的に参加し,さらに知見を得る。
|
Remarks |
プレスリリース有
|
Research Products
(12 results)