2014 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール非線形破壊力学モデルと多重化学物理連成解析手法の構築
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14J08761
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新宅 勇一 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
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Keywords | き裂進展 / 結晶塑性 / 水素脆化 / 粒界拡散 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、結晶粒の破壊に基づく非線形破壊力学モデルの構築を行った。 まず、結晶レベルでの破壊のモデル化を行い、そのパラメータの同定を行った。原子間ポテンシャルに基づく破壊モデルに着目し、金属疲労によって生じる材料の剛性低下を表す損傷変数を熱力学的手法により導入することで、新たな非線形破壊力学モデルを構築した。以上の内容を「第27回計算力学講演会」に論文投稿した。さらに、損傷変数に塑性変形の影響を考慮することで、延性破壊特有の挙動であるシェアリップ破壊を再現した。前述のように疲労破壊を表現可能なモデルを構築した上で、延性破壊に拡張したことで、従来は破壊形態に応じて適用性が細分化されていた破壊力学モデルの統合化を行い、疲労破壊から延性破壊への遷移域までに渡って材料の破壊挙動を再現できる可能性を示唆する結果を得た。 その一方で、化学的な作用により材料が劣化することで生じる破壊現象を再現するための数値解析手法の開発にも着手し、その成果は現在論文投稿中です。具体的には、多結晶体内における水素イオンの拡散解析を行うとともに、化学的作用による強度低下を上記の破壊モデルに考慮することで、従来までは困難であった水素脆化によるき裂解析を可能としました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、非線形破壊力学モデルの構築と化学作用を伴う破壊モデルの提案という2つの課題に取り組み、概ね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、まず微視的なスケールである多結晶体中のき裂進展挙動を、巨視的なスケールとして評価手法の確立です。また、新たな課題としては、結晶塑性体中を任意の方向に進展するき裂を解析する手法の開発です。ただし、後者については概ね方針は決定しており、既にそのプログラム開発に取り組んでいます。
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Research Products
(7 results)