2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14J08859
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
山口 一樹 立命館大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 日本政治史 / 近代史 / 政軍関係 / 日本軍 / 統帥権 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の実績の概要は、以下のとおりである。 本年度は、第一に宇垣一成擁立運動からみる1930年代の政軍関係と権力統合構想の帰結、第二に宇垣一成擁立運動の前提としての1920年代における政軍関係と政党内閣下の権力統合構想の展開に関する調査・研究を引き続き行った。そして第三に戦前日本の軍事官僚制をあらたな課題に設定し、調査・研究を行った。 第一の課題については、軍部との関係が軸となり展開する宇垣一成擁立運動は1930年代の政党内閣崩壊以後の政軍関係のみならず、権力統合を検討する上で重要であり、前年度からの課題として本年度も取り組み、研究報告などを行った。 第二の課題については、第一の課題の前提としての政党内閣期における陸海軍の統制体制と編制権・統帥権認識の差異について検討し、政党内閣制下の政軍関係の展開を明らかにし、報告を行い、論文として発表した。 第三の課題については、上記の課題以外からも近代日本の政軍関係を検討するに当たって、戦前日本の軍事官僚制は政軍関係と密接な関係をもつものであり、政治主導と作戦立案あるいは指揮を司る軍事テクノクラートの専門性との関係のみならず、その間をとりもつ陸海軍省を中心とする、軍事テクノクラート中でも政治性を帯びる軍部官僚への検討を加え必要もあると考え、また軍事参議院・侍従武官府・元帥府などの天皇制国家の軍事諮問・補佐機関との関係からも見直す必要もあると考え、本年度より取り組み、適時学会などで成果を報告している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、次の三点の研究課題に取り組んだ。 第一に前年度からの課題として取り組んでいた、宇垣一成擁立運動からみる1930年代の政軍関係と権力統合構想の帰結、第二に宇垣一成擁立運動の前提としての1920年代における政軍関係と政党内閣下の権力統合構想の展開に関する調査・研究を引き続き行った。第三に戦前日本の軍事官僚制をあらたな課題に設定し、調査・研究を行った。 第二の課題については、1920年代~30年代初頭の政党内閣期前後における陸海軍の統制体制と国務大臣の統帥権輔翼、軍部大臣文官化に注目し、調査・研究を行った。その成果については、研究報告を行い、そして論文として発表した。 しかし、第一の課題については、日本史研究会近現代史部会例会での報告などを経て、現時点の宇垣一成研究に関する知見をあらたに得て、現時点の宇垣一成研究を戦前日本の国家構造と連関させる必要性や、またそれと関連させて宇垣一成内閣流産以後の政軍関係をいかに再考するかなどの課題が明らかとなり、論文として発表できなかった。それらの課題を再検討し、より構造や展望を深めた上で、早急な投稿を目指している。また第三の課題である本年度より開始した軍事官僚制に関する研究については、途中経過ではあるものの報告を行い、現時点の成果を発表したが論文発表までは達成できなかったため、これについても早急な投稿を目指している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、次の通りに本研究を進展させていく予定である。第一に1930年代における宇垣一成擁立運動と政軍関係ならびに権力統合の帰結について、前年度に明らかとなった課題を検討しつつ、投稿を目指す。第二に、前年度から取り組んでいる戦前日本軍事官僚制についても、調査・研究を行い、同時に軍事参議院・侍従武官府・元帥府などの天皇制国家の軍事諮問・補佐機関との関係からも研究を行う予定である。
|