2014 Fiscal Year Annual Research Report
心臓旋回性興奮停止のための通電刺激条件の解明および臨床応用に向けた検討
Project/Area Number |
14J08929
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富井 直輝 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 位相分散解析 / 通電刺激シミュレーション / 同時マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、点通電刺激による心臓SW(旋回性興奮)制御および除細動の実現であり、(a)SW制御のための通電刺激条件の解明(b) SW制御によるSW停止プロトコルの検討(c) 低侵襲なSW解析手法の検討を目標とする。 本年度、(a)SW制御のための通電刺激条件の解明にむけ、定量的SW解析手法として、位相分散解析と名付けた新たな手法を考案した。SWの生成・持続・消滅を同手法によって解析した結果をまとめ、国際論文誌にアクセプトされた。開発した位相分散解析を用いて、通電刺激がSWを停止に導くメカニズムを検証した。その結果、SWと通電刺激由来の興奮波の相互作用が位相分散解析によって解析可能である可能性が示唆され、現在投稿準備中である。 また本年度は、(b) SW制御によるSW停止プロトコルの検討最適な通電刺激シーケンスの探索にむけて、通電刺激シミュレーション・モデルを構築した。シミュレーション・モデル上で異なる方向から通電刺激を加えてSWを誘発し、心臓表面に配置した仮想的な点電極から点通電刺激を印加するシミュレーションを実装した。さらに、通電刺激の効果を前述の位相分散で評価し、機会学習により通電刺激プロトコルを最適化するため、強化学習エージェントプログラムとシミュレーションプログラムとの接続が完了した。 (c)低侵襲なSW解析手法の検討に向けては、心房細動のカテーテル治療においても実際に用いられるマッピング用カテーテル電極を用いて、光学マッピングと多点電極計測の同時マッピングシステムを開発した。スパイラルカテーテルの電極配置を模した光学・電極同時マッピング用電極を作成した。光学マッピングによるSW制御実験のためのリアルタイム画像処理ソフトウェアの実装を行った。GPUによる並列演算を用いて、先述の位相分散解析を500fpsで行うフィードバック刺激のための画像処理速度を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
旋回興奮の新たな解析法である位相分散解析を考案したことにより、通電刺激によるSW停止のメカニズムの解明において大きな進展があった。さらに、通電刺激のコンピュータシミュレーションモデルを構築したことにより、さまざまな通電刺激の効果をシミュレーションモデル上で検討するための環境が整備された。これらにより、メカニズムに基づいた最適通電刺激と、探索的な最適通電刺激の両面で、SW制御プロトコルの検討環境が整った。さらに、GPUを用いたリアルタイムのフィードバック通電刺激システム構築、また電極・カメラの同時マッピングシステムの構築もほぼ完了しており、SW制御を実験的に実証するためのシステム構築が整備された。これらの進捗状況はおおむね計画どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である本年度は、これまでに構築してきた通電刺激シミュレーション環境、および心臓標本への通電刺激実験システムを用いて、SW制御のための通電刺激プロトコルの検討を行う。シミュレーションモデル上でさまざまな電極配置および通電刺激タイミングで通電刺激を行い、SW制御のための通電刺激条件を探索する。さらにその条件を実際の心臓標本に適応することにより、SW制御の可能性を実証することを目指す。
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Research Products
(1 results)