2015 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症幼児への模倣を軸にした言語発達支援プログラムの構築:長期縦断的介入と評価
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14J08975
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石塚 祐香 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 模倣 / 逆模倣 / 音声言語発達 / 運動発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.支援指導の継続: 模倣を軸とした音声言語発達支援プログラムの開発 (1-1)支援方法の確立:知的障害のある自閉症児の発声及び1語発話を実験者がすぐに模倣する(逆模倣)指導方法と、言語賞賛や相づちを行う従来の指導方法を比較すると、逆模倣条件の方が自閉症児の自発的な発声、音声模倣、音声の交互交代行動が増加し、音声言語発達が促進されることを明らかにした。したがって、自閉症児の音声言語発達を促進するための効果的な指導方法を明らかにした。 (1-2)短期集中訓練の効果分析:重度の知的障害のある自閉症児に対して、逆模倣を用いた4日間の集中訓練を行うことで、口を大きく開ける、長く音を出す、といった発声を維持するための運動反応が獲得され、それらの運動反応の獲得に伴い、発話の明瞭度も向上することを明らかにした。 (1-3)包括支援の効果分析:重度の知的障害および言語障害がある自閉症児に対して、身体部位を触る動作、日常生活に関する道具やおもちゃを用いた操作、発声から短文までの音声表出の模倣という3種類の模倣訓練を行った。支援前後で、①全般的な発達検査、②運動発達、③言語発達、④対人的相互作用の評価、⑤視線追跡装置(Tobii)を用いて視線パターンの評価を行った。訓練の結果、訓練していない模倣スキルに加え、運動発達、音声言語発達、支援者に対するアイコンタクトが増加することを示した。さらに、視線追跡装置を用いて、参加児の視線運動を測定した結果、訓練前後で顔への注視時間が大幅に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の2点から、本年度予定していた①支援指導の継続及び②支援効果の分析のどちらも予定通りに遂行し、順調に進展していると評価した。 (1)自閉症児の音声言語発達を促進させるための効果的な指導方法を明らかにし、その成果について国際学術雑誌への掲載が決定した点 (2)模倣訓練による効果を、①全体的な発達、②運動発達、③言語発達の評価及び④視線装置を用いた視線の測定など、 多様な指標から分析し、模倣の獲得と、運動発達、言語発達、知覚基盤の発達との関係性を明らかにした点。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、以下の2点が挙げられる。 (1)支援効果の予測因子の特定:初期評価から、模倣を軸とした言語発達支援の効果を予測する指標を明らかにする。 (2)マニュアルの作成と家庭場面への応用:本年度得られた自閉スペクトラム症児に対する音声言語発達支援に関する知見をマニュアル化する。そのマニュアルを用いて、保護者が支援を実施した場合においても、同様の支援効果が得られるかどうかを検討する。
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Research Products
(9 results)