2014 Fiscal Year Annual Research Report
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14J08980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 建一 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 3次元双曲多様体 / 幾何学的群論 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元多様体の研究においては基本群が重要な位置を占める。とくに有限体積3次元双曲多様体は基本群から決まることが知られている。これをふまえて一般の群から双曲体積のような不変量が得られるかどうかについて考えた。 有限表示群の表示の長さの最小値として定まるpresentation lengthという不変量がDelzantによって導入されている。また、Delzantはorbihedronとなる2次元複体について考えることにより相対的なpresentation lengthも導入し、群の分解における振る舞いを調べている。さらに, 3次元双曲多様体の体積は基本群のpresentation lengthのπ倍で上からおさえられることがCooperによって示されている。 有限位数部分群をとると位数倍になるようにpresentation lengthに安定化を施すことによって、stablepresentation lengthという不変量を導入した。3次元多様体の基本群のstable presentation lengthは単体体積の定数倍で上下からおさえられ、単体体積と同様に連結和分解やJSJ分解における加法性をみたすことを示した。この加法性を示すために、residually finiteな群のstable presentation lengthは階数2以上の自由アーベル群を相対的部分に置いても変わらないことを示した。 3次元多様体の四面体分割における四面体の最小数を安定させて得られるstable complexityも単体体積と同様の加法性をもつことがFrancaviglia-Frigerio-Martelliによって知られている。Stable presentation lengthとstable complexityはとくに密接な関係があると予想している。四面体分割を直接扱うことの困難性を幾何群論的手法によって置き換えられるようになることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
stable presentation lengthという群の不変量を導入し、3次元多様体の基本群のstable presentation lengthが単体体積と類似の性質をもつことを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Stable presentation lengthの深い性質について追究する。とくに、ホモロジーのねじれ部分との関連について考察する。これは、3次元双曲多様体の1次ホモロジーのねじれ部分の位数を有限被覆によって安定させた極限が体積に比例するという予想につながっている。
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Research Products
(6 results)