2014 Fiscal Year Annual Research Report
配向性炭酸カルシウムナノ粒子を応用したストロンチウム回収剤の創製
Project/Area Number |
14J09064
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中村 仁 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端的共通技術部門 先端材料プロセスユニット, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
|
Keywords | 水質浄化 / ストロンチウム / バテライト / シロキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
メタノール-アセトン混合溶媒中で炭酸ガス化合法を行うことで平均粒径が450~600 nmのアミノシロキサン含有バテライト二次粒子を得ることに成功した。粒子1個の断面には直径10 nm程度のバテライト一次粒子が粒子間に5 nm以下のギャップを持ってパッキングされている様子が見られた。また、粒子内のSi含有量を0.1~1.0 wt%の範囲で制御可能であった。FT-IRでは、シロキサンのアミノ末端と炭酸ガスの反応に伴うカルバメート塩(-NH-COO-)のバンドが見られた。また、XRDより、Si-cNV粒子はバテライト単相粒子に比べ(004)面と(110)面のピーク積分強度比が高くなる傾向を示した。バテライトの(00l)面はCa2+/CO32-イオンからなる単一イオン面である。このことから上記の塩は、シロキサン/バテライトの界面においてカルバメートグループとCa2+イオンとの配位により生成したことが示唆された。 上述のSi-cNV粒子の溶解挙動、ならびにシロキサン安定化構造がSr種の回収挙動に及ぼす影響について基礎となる知見を得るため、SrCl2溶液中に粒子を浸漬し、溶液中の[Sr], [Ca], [Si]の各元素濃度および浸漬後の粒子の構造を評価した。初期30 min以内において、[Ca]濃度の急な上昇とともに[Sr]濃度が初期の約50 %まで低下し、浸漬12 hまで継続的に低下していく傾向が見られた。この時点での[Sr]濃度は、初期濃度が1 mMの場合で0.01 mM (除去係数(DF):約120)であった。浸漬30 min後の粒子のXRDパターンではバテライトに加え、カルシアンストロンチアナイト、およびカルサイト型炭酸カルシウムの生成が見られた。このことはSr種が一部のバテライトの溶解・再析出過程において共析出したことを示唆する。浸漬後の各試料の単位体積当たりのSr含有量はSi-cNV粒子では140 mg/cm-3、バテライト単相粒子では125 mg/cm-3となり、Si-cNV粒子においてわずかに増加する傾向が見られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究項目であったバテライトナノ粒子の合成手法について着実に研究を進め、また、次年度に予定していた水中でのSr回収挙動についても既に研究に着手している。この中で、バテライト粒子への微量のシロキサン添加によりSr種の回収効率が向上することを見出した。また、その成果については2件の国内学会、1件の国際会議にて報告している。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は以下の項目について取り組む。 1.Si源のアミノ基含有量を調整してSi-cNV粒子内を作製することで、粒子中のカルバメートグループの生成量の制御を試みる。 2.上記の粒子をSr種含有溶液中に浸漬する。このとき、種々の共存イオン濃度、反応時間にて浸漬実験を行い、各浸漬条件でのSr種回収様式、とくにカルバメートグループの添加量とSr種の回収効率の相関について知見を得る。 3.電気泳動堆積法によるSi-cNV粒子の金属基板上への堆積を試みる。得られた基板をXRDにて評価し、基板上での粒子の配向状態について知見を得る。
|
Research Products
(3 results)