2014 Fiscal Year Annual Research Report
極大地震を受ける冷間成形角形鋼管柱部材の不安定挙動の解明と座屈設計法の合理化
Project/Area Number |
14J09116
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 公亮 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2016-03-31
|
Keywords | 局部座屈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,鋼構造建築物の柱材として広く使用される冷間成形角形鋼管部材の不安定挙動の解明と局部座屈に対する設計法の合理化を目的としている。平成26年度では,以下の3つを検討した。 1. 正方形中空断面部材の局部座屈耐力算定 二軸曲げせん断力と軸力を受ける正方形中空断面部材の弾性局部座屈耐力を,板要素の連成効果を考慮した形で理論的に導出し,弾性局部座屈耐力を決定する因子の影響を明らかにした。さらに,簡便な連成局部座屈耐力の算定法を提案した。この座屈耐力の算定法によって,板要素の幅厚比と辺長比,曲げモーメント勾配,加力角度,軸力比に応じた合理的な連成局部座屈耐力の算定が可能になる。 2. 正方形中空断面部材の初期不整試験と数値解析 まず,材料的初期不整である断面各部の材料特性,残留応力と幾何学的初期不整である板要素の元たわみを試験によって検討した。試験変数は,正方形中空断面部材の製造方法,鋼種,幅厚比である。冷間成形角形鋼管部材に加えて溶接組立箱形断面部材も対象とした。実部材の初期不整を把握した上で,試験結果に基づく初期不整が正方形中空断面部材の弾塑性挙動に与える影響を有限要素法解析によって検討した。この数値解析によって,各初期不整が正方形中空断面部材の剛性と最大耐力および塑性変形能力に与える影響を把握した。 3. 正方形中空断面部材の構造実験 実部材の弾塑性挙動を構造実験によって検討した。実験変数は,正方形中空断面部材の製造方法,鋼種,幅厚比と荷重条件および荷重履歴である。冷間成形角形鋼管部材と溶接組立箱形断面部材を対象とした。荷重条件は軸圧縮力あるいは二軸曲げせん断力である。二軸曲げせん断力の構造実験において,加力角度と荷重履歴の影響を検討した。この構造実験によって,軸圧縮力あるいは二軸曲げせん断力を受ける正方形中空断面部材の最大耐力と塑性変形能力を把握した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 正方形中空断面部材の局部座屈耐力算定については,完了している。 2. 正方形中空断面部材の初期不整試験と数値解析については,計画通り研究が進展している。製造方法,鋼種,幅厚比が異なる正方形中空断面部材の初期不整と弾塑性挙動に与える初期不整の影響を把握できており,成果が得られている。 3. 正方形中空断面部材の構造実験については,やや遅れている。荷重条件が軸圧縮力あるいは二軸曲げせん断力の構造実験は完了しているが,荷重条件が曲げせん断力と軸力の構造実験は完了していない。これは,製造方法,鋼種,幅厚比の影響を検討することに時間を要したためである。 以上を総合的に考え,おおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,曲げせん断力と軸力を受ける正方形中空断面部材の弾塑性挙動を検討する。この検討は構造実験によって行う計画であるが,時間の関係上,構造実験で検討できなかった範囲については,数値解析によって検討する。今後も継続して,冷間成形角形鋼管柱部材を含む正方形中空断面柱部材の不安定挙動の解明と座屈設計法の合理化を目指す。
|
Research Products
(6 results)