2014 Fiscal Year Annual Research Report
形而上学的探究の適切な方法論的基礎づけ-クワイン的方法論の解明を軸として-
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14J09166
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
髙取 正大 慶應義塾大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 分析形而上学 / メタ存在論 / クワイン / 存在論的コミットメント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、こんにちのメタ形而上学(現代分析形而上学の方法論を探究する分野)における二つの重要な立場である、「クワイン的」と呼ばれる方法論および〈基礎づけ〉概念に依拠する方法論について、研究を進めた。それらの成果は以下のように、論文としてアウトプットされ、また口頭発表として準備中である。 クワイン的方法論に関しては、その中で重要な役割を果たす、「クワイン的な存在論的コミットメント」と呼ばれる概念についての考察を進めた。本研究では、この概念について包括的に検討し、「意味論上での証明可能性」という著者独自のアイデアを用いた分析を行った。その成果は査読を経て、『科学基礎論研究』誌に論文「クワイン型存在論的コミットメントの十分な定式化に向けて」として掲載された。 〈基礎づけ〉概念に依拠する方法論については、以下のように研究を進めた。〈基礎づけ〉による方法論の支持者は、次のような主張を行うことが知られている。すなわち、「従来の分析形而上学において標準的だったクワイン的方法論においては、『何が存在するか』という存在の問いが、中心的課題として設定されていた。だが、形而上学の中心的課題は、そのような存在の問いではなく、『何が何に基礎づけられるか』という基礎づけの問いであるべきだ」というものである。本研究では、彼らの主張について、その内実を正確に評価する作業を行い、特に、この立場の代表的な論者である、Schaffer (2009), “On What Grounds What” 等を批判的に検討した。そしてその結果として、「彼らの上述の主張に反し、基礎づけ方法論の問いの設定は実際には、クワイン的方法論のものから逸脱しているとは言いにくいのではないか」という知見を得ることができた。この研究成果については、2015年4月の応用哲学会第七回年次研究大会にて口頭発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題における主要な目標の一つは、クワイン的な分析形而上学方法論の内実の解明である。この目標に対して、そこで用いられる重要な方法論的概念である「クワイン的な存在論的コミットメント」の概念を主題とする、査読あり論文の掲載に成功した。また、他の重要な目標である、「基礎づけ」概念に依拠する形而上学方法論の内実の評価に関しても、近日中の口頭発表を予定している。以上の点から、本研究課題は、当初の研究目標の達成に向けて、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究内容を継続し、クワイン的な分析形而上学方法論の内実について、まだ十分な分析・解明が与えられていない部分に対する考察を進める。また、非クワイン的な分析形而上学方法論についても、本年度に〈基礎づけ〉による方法論に対して行ったのと同様の仕方で、その正確な内実を評価し、クワイン的方法論とどのように対立しているのか/いないのかを見極める作業を行っていく。
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Research Products
(2 results)