2014 Fiscal Year Annual Research Report
光化学系の反応速度に基づく種々の分光分布下の光合成速度推定法の開発
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14J09372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 貴一 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | クロロフィル蛍光 / P700 / 光化学系II / 光化学系I / エマーソン効果 / 電子伝達 / チラコイド反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、迅速、簡易かつ非接触で葉の光合成速度を推定することを目指す。葉の総光合成速度を推定するための方法として、葉に照射される光の波長の分布 (分光光量子束密度分布) と波長ごとの葉の受光量あたり総光合成速度 (作用スペクトル) の積を波長で積分する方法が挙げられる。しかし、この方法では、光化学系II (PSII) に吸収されやすい波長帯の光と光化学系I (PSI) に吸収されやすい波長帯の光をいずれも含む混合光 (例えば太陽光) の下では、エマーソン効果と呼ばれる量子収率増大 (Emerson et al. 1957など) を考慮できないため、総光合成速度が過小評価される可能性が高い。本研究では、2つの光化学系における光化学反応収率を測定することでエマーソン効果による量子収率増大の影響を補正し、任意の分光光量子束密度分布の光の下における総光合成速度を推定することを試みる。
平成26年度は、PSII・PSIに吸収されやすい光の混合光の照射下で、エマーソン効果を考慮しない場合に生じる総光合成速度の過小評価の程度を検証した。PSIIに吸収されやすい青または赤色LED光とPSIに吸収されやすい遠赤色LED光の混合光下では、無補正推定では光合成量子収率 (光合成有効光量子束密度あたりの総光合成速度) がそれぞれ13、23%過小評価された。LEDを用いて照射した混合光下における総光合成速度を推定する上では、エマーソン効果が無視できないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究は実験計画にしたがって遂行された。 分光吸収率分布の作成、光合成作用スペクトルの作成、および波長帯の異なる2種のLED光を混合した場合の光合成量子収率の増大程度の評価を遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
クロロフィル蛍光計測およびP700吸光度計測により、PSIIおよびPSIにおける光化学反応の収率を測定し、エマーソン効果による量子収率増大を補正することを目指す。 エマーソン効果の影響を補正する量子収率推定法を構築し、2種の狭波長帯LED光の混合光照射下における量子収率を推定する。それぞれのLED光を単独であるいは混合して照射し、光合成速度、PSIIおよびPSIにおける光化学反応の収率を同時測定し、構築した式を用いて量子収率を推定する。補正済み推定量子収率と実測量子収率の比較を行う。
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Research Products
(3 results)