2015 Fiscal Year Annual Research Report
光化学系の反応速度に基づく種々の分光分布下の光合成速度推定法の開発
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14J09372
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 貴一 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2014-04-25 – 2017-03-31
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Keywords | 光合成 / 電子伝達 / PSII / PSI / 光質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、迅速、簡易、かつ非接触で葉の光合成速度を推定することを目指す。本年度は光合成電子伝達系を構成する光化学系 (PSII・PSI) 間での光エネルギーの分配から、(1) 各光化学系の光化学反応量子収率の比、および (2) 電子伝達系全体の反応速度を推定する機構的モデルを導出した。 モデルから出力される曲線へのフィッティングにより、葉に吸収された光エネルギーの光化学系間での分配を推定する実験を行った。推定により得られた光エネルギーの分配は、他の手法で推定された文献値と同様の傾向を示した。 つづいて、2種の照射光 (赤色光および遠赤色光) を数水準の比で混合した混合光の照射下における葉の総光合成速度の実測し、モデルを用いた推定値と比較した。モデルによる推定値は、既存の手法 (光合成作用スペクトルと照射光分光分布の積を波長で積分する方法) と比較して葉の総光合成速度を精度よく推定した。 以上の成果は本モデルの妥当性を支持すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光エネルギーの分配に基づいた機構的モデルを導出した。平成28年度に実施する予定であった、モデルの検証を部分的に実施しており、申請当初の計画以上の進捗が得られたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
任意の分光分布の照射光下における総光合成速度を推定することを目標とし、引き続きモデルの検証を行う。検証のため、数水準の照射光分光分布の下での総光合成速度の測定を行う。 また、本モデルによる光化学系間での光エネルギーの分配のパラメータの推定手法を、確立されている他の手法と比較することで検証する。他の手法との比較では、所属研究室外の研究者との共同研究を行うことも検討する。
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Research Products
(4 results)